2017年3月議会 代表質問②「子どもの貧困対策の拡充を求めて」

次に、施政方針で、「親と子を支える子育て環境づくり」や「貧困の連鎖を断ち切る取り組みを進めてまいります」と述べられましたので、子どもの貧困対策の拡充を求めてお聞きします。

本市の「総合ビジョン(案)」でも、「子どもの貧困問題への早期対応を図る必要がある」としています。

日本の子どもの貧困率は、16.3%で過去最悪と言われて中でも深刻なのが、ひとり親世帯で、その貧困率は54.6%にもなっています。貧困率が急増する背景には、政府が進めてきた労働法制分野の規制緩和により、低賃金で不安定な働かされ方を広げてしまったことや、福祉、社会保障の切り捨てによる貧困と格差の拡大があります。2013年6月に「子どもの貧困対策推進法」が成立し、2014年8月に政府の「子ども貧困大綱」が決定されています。

しかし、実効性のある施策が乏しく、国において早急な対応が必要で、政府が責任をもって貧困の実態調査を毎年おこない、貧困率の削減目標を設定して、貧困の解決に取り組む必要があります。

 

毎年3月議会でお聞きしている指標で、富田林市民の給与所得者の収入段階別調べで平均は、2001年度540万7千円だったのが2015年度は455万7千円と、85万円も低い水準です。年間収入300万円以下の割合が、2001年度25.7%、2015年度37.1%で、小・中学校での就学援助率も2002年度18%から、2014年度29.4%にもなっています。

全国で、ひとり親家庭の子どもの貧困が深刻になっていますが、「正社員なら長時間労働は当たり前」とする働かせ方が横行し、子どもを育てるためには、非正規、低賃金労働しかないという状況があります。

このような労働環境の改善が求められていますが、安倍政権は、「多様な働き方」という名目で「残業代ゼロ法案」など、子どもの貧困対策と逆行し労働法制の規制緩和をさらに進めようとしています。

国が行うべき実効性のある取り組みとして具体的には、一つ目に、貧困問題の根本にある低賃金・不安定雇用をなくすために、派遣労働の規制、非正規労働への差別・格差をなくすことや、最低賃金の引上げなど、労働法制を整備し、人間らしく働けるルールを確立することです。

二つ目に、就学援助制度における国の役割を拡大することです。2005年に準要保護世帯への就学援助について国庫補助金を打ち切り、一般財源化したのを元に戻す必要があります

三つ目に、教育における保護者や本人負担の軽減を図ることです。憲法で「無償」としている義務教育でも、制服代、ドリル代、修学旅行代、部活動費、児童会・生徒会費など家計負担が重すぎます。高校教育の無償化や、大学の授業料引き下げ、給付制奨学金の創設等を進める必要があります。

四つ目に、子どもの医療費無料化を国の制度として推進することです。

その他にも、国の負担により、生活困窮世帯への学習支援事業の実施や、学校で困難を抱えている子どもを支援するスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増員、子ども食堂や子供の居場所づくりへの支援などが必要だと思います。

子どもの貧困対策について本市でも取り組みを進める必要がありますが、今後の施策展開について計画をお示しください。

 

次に、「子どもの生活に関する実態調査」について、昨年10月に大阪府が「単純集計」を公表しました。

2月12日にNHKテレビで、大阪府の調査の中間報告も使いながら、「見えない貧困、未来を奪われる子どもたち」と題して特集番組が、報道されていました。

番組では、「運動用具」や「自転車」「インターネットにつながるパソコン」「習い事などの道具」など、「あなたが持っているものや、使うことができるもの」との設問を「はく奪指標」として分析し、貧困状態にある子どもたちは、物的資源、つながりの機会、教育・経験の機会が奪われ、我慢を覚えて、子どもたちの未来が奪われていることについて、行政や社会が取り組みを強めることを示唆していました。

本市においても大阪府と同様の調査をされ、12月に単純集計について報告をいただきました。

本市と大阪府の集計を比較すると、子どもたちへの「おうちの大人の人と一緒に朝食をたべていますか」との問いに、本市では「43.2%」なのに、府の集計では「53.2%」もあります。

同じく「おうちの大人の人に朝、起こしてもらいますか」との問いには、本市「ほとんど毎日39.9%」に対し、大阪府は「46.6%」です。「おうちの大人の人と学校でのできごとについて話しますか」の問いに、「ほとんど毎日」が、本市「38.6%」で、大阪府「44.9%」です。「いやなことや悩んでいることがあるとき、だれに相談しますか」の問いには、「親」と答えたのが、本市「58.9%」、大阪府「66%」です。

また、保護者用の集計結果をみると、「お子さんの将来のために貯蓄をしていますか」の問いに、本市では「貯蓄をしている57.9%」、大阪府は「63.5%」、「貯蓄をしたいが、できていない」が、本市「40.1%」で、大阪府は「35.4%」です。

一見して、家庭環境を反映した、このような違いが気になりました。最終報告は、3月末とのことですが、「子どもの生活に関する実態調査」の単純集計について、当局の所感をお聞かせください。

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