2020年3月議会 代表質問⑥地域の生活環境改善に向け、野良猫問題を解決する方法として取り組まれている、「地域ねこ活動」への理解促進・啓発及び支援の充実をもとめて

※代表質問1問目と2問目をアップします。答弁については議事録ができておりませんので、文字おこしが出来次第アップしたいと思います。

 つぎに、施政方針で「環境にやさしいまちづくり並びに生活環境の向上」を述べられていますが、近年本市でも深刻になっている野良猫問題に対する市の施策について住民福祉の増進にとっても重要な問題と考え質問いたします。

 地域の生活環境改善に向け、野良猫問題を解決する方法として取り組まれている、「地域ねこ活動」への理解促進・啓発及び支援の充実をもとめて伺います。

 近年、“野良猫”による糞尿や生ごみあさりによる悪臭や汚物の散乱、特に繁殖時期における鳴き声などの騒音、敷地内に侵入や爪とぎなどによる物損などの生活被害による住環境問題が起きており、さらに、野良猫への無責任な餌やり行為をめぐる住民同士の対立や考え方・立場の違いなどにより人間関係の悪化をまねくケースもあります。

 「野良猫」は、他に「飼い主のいない猫」や「そと猫」とも言われますが、今日は一般的に分かりやすいよう、「野良猫」という表現を使わせていただきます。

 多くの地域住民が、野良猫問題を解決したいという同様の思いを抱いているにも関わらず、その解決方法についての見解に相違があるために、そこに軋轢が生じ、なかなか解決に至っていないという現状があります。

 私はこのような住宅地の密集した都市社会特有の“町の猫問題”は、生活環境問題として取り組むべき課題であると考えます。

 そこで、町の猫問題の解決方法として有効とされる ①ボランティアと地域住民、行政が連携をして進める地域猫活動の周知・啓発をもとめて、②担当のワンストップ窓口設置をもとめて、③市の補助金制度の拡充をもとめて、④大阪府動物愛護管理センターへの支援要請および、どうぶつ基金の「さくらねこ無料不妊手術チケット(行政枠)」交付申請をもとめて質問します。

 まず、地域猫活動とは何かについてですが、1990年代以降、住宅密集地での野良猫問題をめぐる住民同士の軋轢が全国的に注目されるようになり、その後、こうした野良猫問題を解決するために生まれたのが“地域猫活動”です。

 この活動は従来の個人ボランティアによる愛護活動とは一線を画し、地域住民とボランティア、行政との恊働を特徴としています。

 野良猫救済に重きをおく保護・譲渡の取り組みや、野良猫の生息数減少を図るTNRだけでなく、公共的な地域の生活環境問題として取り扱うことで、野良猫により生活被害を受けた方の声に寄り添いつつ、様々な立場の人が利害の一致によって歩み寄り、問題解決に導くものです。

 TNRとは捕獲を意味するトラップ(T)、不妊去勢手術を意味するニューター(N)、元の場所に戻すの意味でリターン(R)の頭文字です。

 手術を施された猫は、間違えて再度捕獲され、手術台に乗せられることがないように、不妊去勢手術済みである事が分かるよう片方の耳の先をカットして目印を付けられます。耳の先がさくらの花びらのように見えることから愛称で「さくらねこ」とも呼ばれます。具体的には、地域社会の承認を得た人が、特定の飼い主がいない猫にTNRを施します。

 こうして地域猫活動では、TNRを行い、定時定点での餌やりと後始末など地域に認められた“地域猫”として天寿を全うするまで適切な猫の個体管理を行うことで、猫の個体数を減らし、猫による生活被害と住民トラブルを軽減し、活動の行き着く先として、不幸な野良猫がいない世の中をめざしています。

 横浜市磯子区での活動から始まった地域猫活動は、磯子区や東京都などの自治体に野良猫問題の解決策として採用され、2010年には環境省が策定した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」に記載、2012年には「動物の愛護及び管理に関する法律」改正に伴う附帯決議へ記載をされるなど、現在では野良猫問題への主要な対策手法として全国の自治体に広がっています。

 近隣市では、藤井寺市での取り組みを、私も数年前からお話を伺ってきました。藤井寺市「藤が丘1・2丁目さくら猫 愛護会」さんと、ボランティア団体「春日丘いぬ・ねこの会」さんのお話を伺うことができました。

 藤が丘の町会長はもともとのら猫による生活被害に悩まされ続け、猫よけグッズで家の周りを張り巡らしていたほどの猫嫌いでしたが、町会長になった事を契機に、真剣に問題解決策を模索する中で地域猫活動を知り、回覧で地域住民に理解を呼びかけ、一緒に協力して取り組む中で、徐々にのら猫の頭数が減り、生活環境の改善効果を実感したとおっしゃっていました。お話を伺った際に同席されていた方の中には、もともとTNRと餌やりをしていた方もおられました。その方は、それまで「餌やりおばさん」として自分が地域で後ろ指をさされているのを感じ、近所付き合いもありませんでしたが、町会が理解を示し、自分にもTNRの事や地域猫活動の話を聞きに来てくれた、そこで、自分も一緒に地域の環境改善に協力したいと思い関わり始めたとのことでした。

 このように、地域猫活動に地域ぐるみで取り組むことは、住環境改善、住民同士の良好なコミュニティ形成にも大きな効果を生んでいます。藤井寺市では、行政が窓口となって積極的に取り組まれているため、無料で不妊手術を行う、“公益財団法人どうぶつ基金”の「さくらねこ無料不妊手術チケット(行政枠)」交付を受ける事も実現できています。また、市として「藤井寺市猫適正管理講習」を開くなどの理解促進・啓発活動にも取り組まれており、市内の他の地域にも広がっているということです。 

 しかし、本市においても、長年TNRなどに個人的に取り組んでこられている人がいるものの、まだまだ一部の理解にとどまっており、協力が得にくいなど、こうした取り組みが非常に難しい状況です。

 餌やりは悪であるという認識が強いため、餌やり人そのものが住環境を悪化させる対象とも思われていますが、地域の猫の頭数抑制に取り組む中での定時定点、片付けまでをきちんと行う餌やり行動と、無責任にやりっぱなしの餌やり行動とは、明確に区別されなければなりません。また、飢餓状態ではむしろ繁殖能力が高まることや、ごみを荒らすなどの被害も多くなるなど、餌を与える事が繁殖を促すというのは誤った認識であるとの専門家の指摘もあります。

 元々愛玩動物としてかけ合わされて生み出された猫という生きものが、人間の身勝手な行いによって捨てられ、野良猫が増えた結果、またその人間によって容赦なく追い払われている理不尽な実態を考える必要があります。

 地域猫活動が進んでいる自治体と、そうでない自治体の違いは、こうした背景についての行政側の理解の差であると考えます。

 まずは、本市でも野良猫問題解決、生活環境改善のための有効な施策として、地域猫活動を位置づけていただきたいと考えますが、いかがですか。

 また、自治会や町会などとも協力して市民フォーラムや市民学習会を開いたり、広報やホームページ、ポスターやチラシなどで周知・啓発を行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

 本市でも、猫に関する様々な視点からの苦情について、生活環境の問題であるという視点で本格的に取り組む必要があると考えます。

 本市での飼い猫および野良猫の問題に対する苦情件数と内容について教えてください。また、これらの苦情の受け付け、対策・対応は、本市では現状どの部署や機関が担っていますか。猫の問題に関するワンストップ窓口を設ける必要があると考えますが、いかがですか。

 本市では南河内の中で他市に先駆けて市独自の「飼いねこ不妊去勢手術費補助金」制度が設けられ、1匹あたりメス3000円、オス2000円の不妊去勢手術費補助を現在も継続していただいていることは高く評価できると考えます。

 大阪府全体をみますと、より充実した補助金制度をもっている市も多くあります。たとえば、北大阪地域7つのすべての市で一匹あたり上限5000円から9000円の補助を行っています。

 そのうちの池田市、箕面市、豊中市、摂津市の4市では、野良猫のみが対象です。また、近くの堺市では、飼い猫3000円、野良猫8000円の補助、八尾市では野良猫のみ上限1万円の補助、東大阪市では野良猫のみ上限5000円の補助となっています。

 対象が野良猫のみという市が多くあることからみても、野良猫の不妊去勢手術が地域全体の環境問題にとって、いかに大切であるかがわかります。

 本市では、予算は年々削減傾向にあり、一世帯あたり1年に1頭までとの制限が設けられていることや運用について改善の余地があると思います。また、補助制度の要件から“飼い猫“という文言をはずし、地域の環境改善に向けて、すべての猫に対する補助制度に拡充していただきたいと考えますがいかがですか。

 補助金制度の予算は削減ではなく、市内の環境改善に寄与する重要な施策として、より充実をもとめますが、見解をお聞かせください。

 また、大阪府動物愛護管理センターへの支援要請や、どうぶつ基金の「さくらねこ無料不妊手術チケット(行政枠)」交付申請を行っていただきたいと思いますが見解をお聴かせください。 

 

【2問目】 6.「地域猫活動」

 ご答弁ありがとうございます。ご答弁で、『地域猫活動は、住宅地における野良猫問題解消に効果的で有効であると認識しております』とお答えいただきました。この市としての認識は、今後、市民の皆さんの理解・協力の輪を広げるにあたっての大きな第一歩であると考えます。今後の周知・啓発をよろしくお願いいたします。

 また、新年度の機構改革に合わせて「猫問題解決のワンストップ窓口」を設けるとのご答弁もいただきました。今後、このワンストップ窓口を通して、どうぶつ基金への交付申請、市としての補助制度を、地域の生活環境改善に向けて、すべての猫に対する補助制度として、さらに拡充していただく事を期待し、要望といたします。 

 以上で、日本共産党の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

コメント投稿