2020年9月議会 代表質問①コロナ危機の先に、よりよい社会を展望して、新型コロナ感染症拡大防止と収束のための独自施策を求めて

議席番号16番 田平まゆみです。私は日本共産党を代表して質問します。市長の積極的なご答弁をよろしくお願いいたします。

コロナ危機の先に、よりよい社会を展望して、新型コロナ感染症拡大防止と収束のための独自施策をもとめて伺います。

新型コロナ感染症は、世界でも広がり続け、感染者は2700万人をこえ、死者は89万人を突破しました。日本でも感染者が(71,856人)、死者は(1,363人)となっており、富田林では感染者は現時点で(34人)となっています。

そんな中、いまだ、政府は感染状況を把握するための積極的PCR検査の戦略も示さず、国民が安心して社会活動をできる状況ではありません。

さらに、「医療提供体制は逼迫していない」と根拠なく述べ、当初コロナ終息後に始めるとしたGo Toキャンペーンの第1弾「Go To トラベル事業」を、第2波が猛威をふるうなか、7割の国民の反対を無視してスタートさせ、観光ホテルなどで感染拡大のクラスターを拡げました。さらに、9月中旬頃からは第2弾となる「GoToEat事業」をおこなうとしており、感染拡大を拡げ、利用者に自己責任を負わせる矛盾ある施策に多額の国費を投入しています。

コロナにより損失を被っている事業者へは直接的な減収補填をすることが重要であり、安心して社会活動ができる検査と医療体制の確立が、今こそ求められています。

 安倍晋三首相は、6月17日の通常国会閉会後、国会への出席はおろか記者会見すら開かず、国民への説明責任を果たさないままに、8月末に突然辞意を表明しました。しかし、辞任で幕引きではなく、安倍内閣のコロナ対策における数々の失態の責任や、森友学園・加計学園問題や桜を見る会、検察官定年延長問題など、自身と昭恵夫人の政治の私物化疑惑について、ひきつづき厳しく問われなければなりません。

新型コロナ感染症の拡大は、私たちの生きる社会を一変させ、さらに長引くことが予想されます。中でも、緊急事態宣言による外出自粛、休業要請、全国一斉休校要請、公共施設等の閉館などにより、DVや虐待被害者、障がい者、高齢者、難病患者、ひとり親家庭、依存症患者、情報弱者、交通弱者といった、社会的に弱い立場におかれている方々が窮地に立たされるなど、社会のひずみを露呈しました。

こうした困難を抱えた方々の中には、いくつかの複合的な問題が重なりあってさらに困難な状況にある方も多くいらっしゃいます。

このような危機的状況で露わになった社会のもろさは、まさに、資本主義・新自由主義の矛盾が生み出した結果です。

新自由主義は、国家による福祉・公共サービスを縮小し、徹底した自己責任論のもと弱者を切り捨て、格差を拡げてきました。あらゆる規制を緩和・撤廃し、市場原理主義に基づく際限のない利益追求を続けてきたことによる地球規模の気候変動や環境破壊も深刻です。

日本では、1980年代初めに作られた「臨時行政調査会」の「行政大綱」にそって、財界が直接指揮して、国民的運動が築いてきた成果を次々に後退させ、財政危機を理由に社会保障は「自立・自助」が当たり前にされ、老人医療費は有料化され、さらなる本人負担を強いる健康保険法や年金制度の改悪がすすめられ、それと逆行するように、軍事費が増大しました。

この動きは教育や地方自治にもおよび、自己責任を理由にした福祉の削減や、企業利益を第一とする政治が一気に進められ、今日の貧困の格差を生み出しました。

私たち人間は、これまでの社会のあり方を反省し、今後の社会をどう生きるべきか、どのような未来を築くべきかという問題を突きつけられているように感じます。

日本共産党は、コロナを乗り越えた先に、よりよい社会をつくるため、今こそ新自由主義・資本主義を改め、いのち・暮らし最優先の、「支え合う社会」を作ろうと呼びかけています。

そこで、まず最初に、6月議会でも求めましたが、改めてPCR検査の拡充について改めて質問します。

新型コロナ感染拡大が広がり続け、徹底した検査が求められている中、いまだに日本政府としてのPCR検査体制確立はいっこうに進まず、無症状の陽性感染者が感染を広げているなか、人口当たりのPCR検査実施率は、日本は世界で159番目と、最低水準となっています。

新型コロナ感染症収束のために、日本共産党は、感染拡大を防止し、国民の命と健康を守るとともに、再度の緊急事態宣言を回避するため、国、府、市にPCR検査を抜本的に拡充することをもとめています。

その内容は、第1に、感染が集中している感染震源地・エピセンターを明確にし、その地域に住み、働く人たち全員にPCR検査を実施し、無症状者を含め、感染力のある人を把握し、隔離・保護すること、第2に、医師会と行政、開業医の連携で、発熱外来・PCR検査センターを各地につくること、第3に、感染リスクの高い医療機関、介護・福祉施設などの職員への定期的な検査をおこない、施設利用者の検査も必要に応じて行う、第4に、陽性者を、隔離・保護・治療する体制を確立するため、宿泊療養施設、病床を確保し医療機関と医療従事者への思い切った財政支援をおこうこと、第5に、だれでも、いつでも、何度でもPCR検査を受けられる体制をつくることです。

また、私たち日本共産党河南地区も、PCR検査の大規模実施を、職員の増員と財源の確保も含めて、大阪府に求める署名活動を行っています。

日本医師会有識者会議が8月5日に発表した緊急提言では、「本感染症は無症状例が多く、隠れた地域内流行が存在する」「経済を回す上からも感染管理の必要な人たちが検査を受ける必要がある」としてPCR検査体制の拡充をもとめています。

また、全国保健所長会も政府に対し要望書を提出し、オーバーシュートと呼ばれる感染者の爆発的患者急増に備え、PCR検査機器の整備や試薬の確保のため、国の責任で検査供給体制の整備と財政支援をもとめ、人員確保の費用に対する地方交付税措置を求めました。

 

世界では新型コロナ感染症に対して様々な対策が取られていますが、感染拡大の封じ込めに成功している国と、感染を止められない国の明暗が際立っています。台湾のように4月21日以降、一人の感染者も出していない国があり、世界最大の感染者と死者を出しているアメリカでも、メリーランド州では600万人のうち99万人(16%)がPCR検査を受け、4月中旬に陽性率26.9%だったのが4%にまで下がり、入院患者を減らしています。感染拡大が止まらなかったニューヨーク州でも住民2000万人のうち650万人が検査をうけ、感染者が減少に転じています。

日本国内でも、自治体での独自施策が打ち出されています。東京都世田谷区は、現行の検査を倍加し、区内のすべての介護・保育職の方に無料でPCR検査を実施することを決め、2万3千人に「社会的検査」をおこないます。1日に千人が検査を受けられる体制をつくるため、医師会と保健所と協力しています。東京都千代田区では、感染症予防のために、区内の介護施設職員全員にPCR検査を3か月ごとに実施し、新しい入所者にも検査を実施するとし、3000万円の補正予算を組んでいます。長崎県では、県の医師会が保健所を管轄する県、長崎市、佐世保市と委託検査の契約を締結し、医師会所属の医師がいる医療機関で、唾液の検体を採取して大学病院に搬送し、検査をおこない、公的医療保険の適用対象で自己負担は千円以下の見込みとしています。

大阪府下でも、枚方市では、受診相談センターから保健所を介さずに、医療機関からの紹介でうけられる地域外来検査センターが3か所設置されることになりました。枚方市保健医療課に問い合わせたところ、国庫補助金が2分の1、市が2分の1で2億4千万円を委託料として予算計上されています。

枚方市の対応の背景には、すでに地域の病院が、帰国者接触者外来と同様の機能を有する医療機関として大阪府と行政検査の委託契約を結んでPCR検査をすすめているという状況があり、市もその流れに押されるかたちで、帰国者・接触者外来を担ってくれている病院に、その機能を残しつつ、地域外来検査センターとしてPCR検査を委託するという考えとのことでした。今後は、3か所にとどまらず地域外来検査センターをさらに広げたいとの考えも示されています。

その他、高槻市でも、地域外来検査センターが設置されており、高槻市の場合は、病院主導ではなく医師会主導で、5か所の医療機関に委託をされ実施されているとのことです。

富田林保健所管内では3つの病院が新型コロナ患者の受け入れをおこなっており、南河内2次医療圏では、7月末で5つの病院が94の病床をコロナ感染者専用として運用されています。

しかし、富田林市では、富田林病院やPL病院をはじめとする医療関係者、消防署の救急隊員、介護施設従事者、保育士、教員など、感染の危険にさらされながら働いている職員や、濃厚接触により感染を広げてしまうかもしれない専門職の労働者がPCR検査を受けることができていません。

新型コロナ感染症から市民の命を守る最前線で働く人や、感染症を広げてしまうかもしれない職員のかたなど、医療従事者・救急隊員・介護福祉施設職員・保育士・教員などにPCR検査の定期的な実施をもとめますがどのようにお考えでしょうか。

自公政権や維新府政によって保健所が減らされ、大阪市では市内にあった18の保健所がたった1つに減らされてしまいました。職員も削減されるなど各地の保健所職員がコロナ禍で大変な過重労働をしいられています。時間外勤務が月100時間を超える職員が続出したり、連日最終電車で帰宅するなどの現状を聞いています。職員の増員なしに、検査数を増やすことはできません。

6月議会では、「富田林保健所との協議において、PCR検査センターを拡充することになれば、地域の医師会、管内の市町村とともに大阪府に対して全面的に協力してまいりたい」との答弁をいただいています。

市は、今こそ医師会と協力し、独自の地域外来検査センターの設置をすすめるべきだと考えますが対策をお聞かせください。

拡大する感染症を止めるには、積極的な防止策が必要です。国内での感染者の発生をゼロに抑え込んでいる台湾では、感染症対策の医療体制を充実させると同時に、国民に対し感染者への手厚い援助の対応をおこなったそうです。全国の町内会組織に呼びかけ、感染者を排除するのではなく、買い物・ゴミ捨てなどを支援して地域で守っていったそうです。

国内では一部で、感染者が出た事業所に非難を浴びせたり、家族がいやがらせにあうなどの2次被害も起きていることが報道されています。

感染拡大により、オーバーシュートが起きても軽症者を地域でサポートできる体制づくりや市民への啓発が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 富田林市でも、学校で児童や生徒、教員にまで感染者が出始めました。

日本では、学級規模の上限について、小学校1・2年生は「35人学級」、あとは高校まで全て「40人学級」とされています。しかし、欧米では20人〜30人学級とされており、日本の遅れは明らかです。

全国連合小学校長会会長は「ウィズコロナ時代では20~30人が適当」と述べ、中央教育審議会の部会でも複数の委員が少人数学級に言及しているほか、全国知事会・市長会・町村会の地方3団体も、萩生田文部科学相に緊急提言で、「公立小中学校の普通教室の平均面積は64平方メートルであり、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難」と指摘し、少人数学級の実現へ「教員の確保が是非とも必要」と訴えました。

さらに、萩生田大臣は、日本PTA全国協議会と全国高等学校PTA連合会の代表と意見交換をおこない、教室内の3密問題や教員の増員を求める意見に対し、「子ども同士の距離を確保するための少人数学級や、スクールサポートスタッフの更なる増員などを検討したい」と述べています。

今こそ、子どもたちの安心・安全で豊かな学びを保障し、「3密」を避ける教育環境のためにも、国に早急な教員の大幅増員とそのための財政措置を求めていただきたいと考えますが、見解と本市の要望状況をお聞かせください。

市議会でも、議会各会派から市長に対しコロナ対策をもとめる要望が出され、感染症防止や市民・事業者への支援策がもとめられていました。近隣市では松原市、羽曳野市、大阪狭山市、河内長野市、河南町、千早赤阪村などで次々に臨時議会が開催され、議会の声を聞き、補正予算を審議されています。

しかし、富田林市では市民の声と議会の声をきくべき臨時議会を開かずに、市長が専決で補正予算をすすめてしまいました。

地方自治法第179条で、市長の専決権について規定されていますが、「特に緊急を要するため議会を招集する余裕がないことが明らかなとき」に限ると規定されています。議会は告知後1週間で開催できるので、それを待てない事案ではなかったはずです。

新型コロナの対策を十分に審議するためには、市長の専決権の乱用は慎み、議会の審議権を保証すべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

 

【要望】  

6月議会から新型コロナ感染に対して、福祉・医療関係者、救急隊員、保育士、教員などに対してPCR検査の実施を求めてきました。

市民の命を守るために、国に検査体制・医療体制への財政措置の抜本的強化を、府に対し保健所・衛生研究所の廃止・統合や人員削減を見直すよう、強く求めていただくとともに、市独自の積極的な施策をもとめておきます。

また、新型コロナに対する「早急な施策」「取り急ぎの周知」を行うため、「早急な議会審議」を、と私たち議員団はこの間、求めてきました。議会を通じて市民の声を届けるという、議会制民主主義の原則を今後大切にしていただくよう強く要望しておきます。

コメント投稿