2020年9月議会 代表質問④SDGsの推進と「気候非常事態宣言」の発動を求めて

SDGsの推進と「気候非常事態宣言」の発動を求めて伺います。

世界中で、記録的な高温や台風等の強大化、豪雨、大洪水、大規模な山火事、深刻化する干ばつなど、気候変動の影響が顕在化し、被災者や死傷者数も増大しています。

猛烈な暑さが日本列島の各地を襲い、最高気温35度を超す猛暑日となった観測地点が相次ぎ、熱中症の疑いで救急搬送される人が急増しました。さらに今年の夏は、新型コロナウイルスの感染が再拡大するという、これまでとは全く異なる状況になっています。感染症と熱中症の双方に対して厳重に警戒するとともに、万全の備えを整える努力と工夫が欠かせません。命を危険にさらす猛暑から国民を守るため、国や自治体が、さまざまな分野で取り組みを進めることが重要です。

富田林市でも、この夏の熱中症による救急搬送は7月、8月、9月6日までの合計で93件となっており、近年の搬送者数は10年前と比べて倍増しています。

また、地球温暖化による台風や豪雨で全国的に深刻な被害も増加しています。富田林市でも近年の台風や豪雨による影響で、避難者数は増加の傾向にあり、河川や道路、建物や農作物への被害も増えています。

このような自然環境の危機的な状況に、世界30カ国、約1500を自治体が「気候非常事態宣言」を出しています。日本でも、長崎県壱岐市が自治体で初めて宣言を表明して以降、全国に広がり始めています。

気候変動による大災害防止には、地球温暖化防止、二酸化炭素排出削減は喫緊の課題です。

1997年にCOP3(第3回気候変動枠組条約締約国会議)で、温室効果ガスの削減目標を定めた初めての国際的な枠組みとして「京都議定書」が採択され、地球温暖化問題が世界の大きなテーマになりました。日本政府は2012年までを期間とする「第1約束期間」には参加しましたが、その後の第2約束期間には参加していません。

2007年に世界130ヵ国の専門家の知見を集約してつくられた、ICPP(国連気候変動に関する政府間パネル)「第4次評価報告書」で「温暖化は疑う余地がなく、20世紀半ば以降の平均気温上昇のほとんどは人為によるもの」で「海水面上昇、洪水や干ばつ、酷暑やハリケーンなどの激しい異常気象の増加・増強、生物種の大規模な絶滅を引き起こすなど、地球全体の気候や生態系に大きく影響を与える可能性」を指摘し、社会経済にも多大な影響を与えることが具体的に明らかにされました。

2015年12月に、COP21「パリ協定」が締結され、世界のほとんどの国をカバーする2021年以降の本格的な温室効果ガス削減のための枠組みがつくられました。そこでは、世界の平均気温が産業革命以前より2度上昇すると、異常気象、海洋システムへの高いリスク、熱帯感染症の拡大、農作物生産の減少などによる深刻な被害が起こるとし、気温上昇を1.5度未満にする目標が設定されました。

そんな流れの中、2017年に、世界第2位の二酸化炭素排出国であるアメリカのトランプ大統領は、パリ協定からの離脱を宣言してしまいました。

しかし、2018年12月にロンドンが「気候非常事態宣言」をおこない、世界にこの宣言が広がっています。日本はCOP25で石炭火力問題で世界の環境NGOから、その日の交渉で最も後ろ向きの発言や行動をした国に送られる化石賞を2度も受賞しています。しかし、今、政府の方針を変えようと、日本でも30自治体が、今起きている気候危機は人間起源の温室効果ガスによる地球温暖化の危機だという認識のもと、「気候非常事態宣言」をおこなっています。また、その約半分が2050年にCO2排出実質ゼロか再生エネルギー100%目標を含めた具体的な行動計画をしめしています。

地球温暖化と自然災害の関連と自治体の役割について、市の認識をお聞かせください。

社会・経済・環境を守るため、国際社会ではSDGsで「17の目標」を掲げています。「SDGs(エスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーにより決められた、国際社会共通の目標です。

このサミットでは、2015〜2030年までの長期的な指針として、「2030アジェンダ」が採択されました。この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」をSDGsと呼んでいます。その17の目標のうちの一つが「気候変動への具体的な対策」です。

富田林市も「『誰一人として取り残さない』とするSDGsの理念を市政に取り入れ、総合ビジョンに掲げたまちの将来像の実現につなげることで、全国・全世界的なSDGsの実現に貢献するとともに、SDGsを共通言語として、多様な関係者との連携・協働によるまちづくりを進める」として、「富田林版SDGs取組方針」を策定するとともに、「富田林版SDGs未来都市計画」も策定しています。その中の取り組み課題として、低炭素化の推進と環境意識の醸成があげられています。

SDGs実践のため、地球温暖化防止策を富田林市に於いても積極的に行うことを求めるものですが、具体策をお示しください。

また、地方自治体として、再生可能エネルギーの導入や水素ステーションの整備、省エネ住宅の整備などに取り組む「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」や、行政機関が、気候変動への危機について非常事態宣言を行うことによって、気候変動へ政策立案、計画、キャンペーンなどの対応を優先的にとるという「気候非常事態宣言」の運動が世界的に広がっています。河南町やお隣の河内長野市議会でも決議をあげ、自治体として気候非常事態宣言を行うことをもとめています。

富田林市も「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」、「気候非常事態宣言」を行い、市民に発信することを求めるものですが見解をお聞かせください。

 

【答弁】

4.SDGsの推進と「気候非常事態宣言」の発動を求めて伺います。の(1)につきまして、お答えします。

近年、各地で最高気温が40℃を超える地点の増加、海水温度の上昇により勢力の強い台風が増加するなど、地球温暖化の影響が疑われる事象が発生しております。また、「令和2年7月豪雨」では、線状降水帯が連続して発生し、西日本各地で広範囲に洪水や土砂災害の被害に見舞われました。

地球温暖化に伴う気候変動により水害、土砂災害などの頻発化、激甚化が懸念されており、気象庁のデータでは、日本の降雨日数は減少傾向にあるものの、降雨量の多い日数は増加傾向にあることから、降雨に関しましても変化が見受けられます。

これらのことを勘案いたしますと、地球温暖化と自然災害には一定の相関関係があるとも考えられます。

本市といたしましても、地球温暖化防止の対策に一層努めるとともに、このような気象状況の変化により生じる自然災害に備え、市民の皆さんのいのちと財産を守るべく、防災・減災対策を継続して行っていかなければならないと認識しております。

続きまして、4の(2)(3)について順次お答えいたします。

議員ご指摘のとおり、日本においても、世界においても、熱波、干ばつ、洪水、海面上昇などが頻発し、近年、多くの被害が出ており、本市におきましても、平成29年10月の台風21号及び平成30年9月の台風21号は富田林市内に記録的な暴風や大雨をもたらし、土砂崩れや倒木、住家の被害が多数生じました。その要因は地球温暖化などの気候変動が影響と言われています。

本市といたしましては、地球温暖化防止策として、平成13年度から富田林市地球温暖化対策実行計画を策定し、目標値を定め公共施設のエネルギー使用量などを統計化し、見える化をすることにより、職員に啓発を始め、市内全小・中学校などに太陽光発電システムを設置するなどを実施してまいりました。

地球温暖化防止策としての温室効果ガス削減等は、市民等への理解を深めていくことが重要であると認識していることから、平成18年度から住宅用太陽光発電システム設置に対し、また、平成28年度から家庭用燃料電池設置に対し、さらに、平成29年度から集会施設用太陽光発電システム設置に対しての補助金制度を実施し、併せて、広報誌等において随時、啓発や協力をお願いしているところでございます。今後は、国レベルだけでなく、市民の暮らしに密着した地域発の取組みが重要であるとともに、環境・社会・経済を一体的に推し進め、市民等が温室効果ガス削減等を積極的に取り組めるよう、より一層、周知啓発するとともに、更なるSDGsの推進を図ってまいりたいと考えております。

続きまして、(3)についてですが、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」につきましては、環境省が脱炭素化社会をめざす自治体を応援する取り組み支援の一つであり、大阪府内では令和2年6月時点で、3市が表明、1市が表明予定しております。また「気候非常事態宣言」につきましては、地球温暖化対策として、温室効果ガス削減政策に取り組むことを宣言するもので、令和2年6月時点で6市町が議会決議や市町村にて宣言、1市が宣言予定と聞き及んでおります。

そのような中、本市としましても、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」「気候非常事態宣言」を行っている先進事例の市町村の取り組み内容を調査、研究して参りたいと考えております。

 

【要望】

SDGsを推進しようとする本市でも、地球温暖化防止策の具体化が求められています。「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」、「気候非常事態宣言」をおこない、本市独自の政策立案、具体策の推進をもとめておきます。 

以上で日本共産党の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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