2020年12月議会代表質問ー③市の入札業務の適正化をもとめて

2020年12月議会代表質問を、日本共産党を代表して岡田議員が行いました。(12月9日)

以下、「市の入札業務の適正化をもとめて」です。(正式な議事録ではありませんので、ご了承ください)。

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市の入札業務の適正化をもとめて伺います。

今年7月30日に、国が進める事業の実施により、小中学校学習用タブレット型パソコン購入のための、市の入札が実施されましたが、その結果は異様なものでした。

パソコンを扱う大手商社、メーカー系商社、大手電気設備会社と地元の事務機器あつかい業者など29社がこの入札の指名を受けました。しかし、25社が入札を辞退し、入札に参加した4社のうち3社が応札を辞退し、1社のみが札を入れました。最低制限価格は設定されていないにもかかわらず、競合のないまま落札率97.5%の3億6441万9000円という高値での落札金額でした。落札能力のある10社余りの会社がすべて辞退し、1社のみが応札して高値で受注するという、明らかな談合を疑わせる結果です。

最低制限価格のない入札で、95%以上の落札結果は談合の疑いありと言われていますが、95%で落札された場合と比べると、このケースでは約924万円が不当に釣り上げられたことになります。しかも、落札した業者は他市の入札では、製品調達やシステム対応など落札能力があるにもかかわらず、指名業者とされたのに入札を辞退しています。逆に、同様の入札を他市で落札した業者が、口裏を合わせたかのように富田林での入札・応札を辞退しています。

全国で国がすすめる学校用パソコン導入事業によるパソコン機器の入札がいっせいにおこなわれましたが、いずれも各市での応札業者は1社か2社で、落札業者が事前に決まっていて高値で落札したかのような結果でした。これでは入札による競争原理が働かず、正常な競争が妨害された、談合を疑わせるという状況です。

この事業の入札をめぐっては、広島ではすでに公正取引委員会が、これらの業者に対し、不当な取引制限をおこなったとして独占禁止法違反の疑いで、県内に支店を持つ大手企業など14社に立ち入り検査をおこなっています。

今回の入札結果について、状況から見て談合の疑いがあると考えられますが、市の見解を伺います。

談合や不正が繰り返される背景には、政治家と官庁、業者との金を巡る癒着の構図があるといえます。政治家が、大手が受注できる事業を立案し、それを官庁・役所に発注させる、企業が利益を水増しするために入札での談合をおこない、その利益を政治献金として政治家や政党に還流する、というものです。

公共事業での不正や談合をなくし、入札制度を透明なものにするためには、事業の積算根拠を明らかにして予定価格を事前に公表することや、汚職や談合の温床になりやすい指名競争入札から、業者を指名しない一般競争入札を原則とすること、電子入札の導入で価格や業者間の事前の調整を防止するなどの手立てがあります。

富田林でもかつて、南河内清掃施設組合で1997年に第2清掃工場の建設工事の入札や2013年の消防救急デジタル無線機器購入をめぐって談合が発覚した事があります。

以前の入札で、談合による被害が明らかになった事例について、これらの内容とそこからえられた教訓についてお聞かせください。

市民の血税である市の財政が、企業の談合により、不正に使われてはなりません。秘密裏に業者同士が打ち合わせをし、落札者と落札価格を調整するのですから、市が談合の有無を判定し、摘発するのは困難ではあります。小中学校の教育用パソコン購入の事業費は半額以上が国庫負担されるものですが、この事業と入札は、政府の意向で事業が取り組まれ、大手メーカーの商品を大手販売企業に高値で落札させるために仕組まれた様相があります。広島では公正取引委員会が談合の疑いで立ち入り検査を始めていますが、市として談合防止のために、入札制度や実施方法の改善などについて、どのように対策をとられるのかお聞かせください。

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以下、答弁要旨です。正式な議事録ではありませんのでご了承ください。↓

ご質問の入札案件であります「小中学校タブレット型パソコン購入」につきましては、本市の入札参加資格者の中から29者を指名し、7月30日に指名競争入札を執行いたしました。

その入札状況につきましては、指名した業者のうち、事前に入札を辞退された業者は25者で、残りの4者は入札に参加されましたが、落札者以外は全て「辞退」の旨を記載しての入札となりました。

なお、予定価格税込み3億7387万4930円に対し、契約金額は税込み3億6441万9000円となっております。

この案件につきましては、国のGIGAスクール構想に基づき年次的に導入する予定であったものを、新型コロナウィルス感染症拡大予防対策としまして、国の施策として、次年度以降分をすべて本年度に前倒しして整備するという事になったため、全国の多くの自治体が同時期に同様の入札を執行されている状況でございました。

そのような中で、本市においても入札を実施したことから、多数の辞退者が出たものと考えており、談合が行われたとの認識はございません。

過去に本市が関係する入札において、談合が明らかになった事例は2件ございます。まず1件目として、本市を含む周辺自治体で組織します南河内環境事業組合、当時の南河内清掃組合が平成9年に行いました第2清掃工場建設工事の入札案件が、大手プラントメーカー5社が全国で行った焼却炉工事をめぐる談合の一部であると公正取引委員会が平成18年に認定したものであります。

次に2件目としましては、本市が平成25年に行いました消防救急無線をアナログ方式からデジタル方式に移行するための機器購入の入札案件につきまして、

メーカー5社が全国の市町村が発注する消防救急無線のデジタル化事業をめぐる入札で談合を繰り返していたとして、公正取引委員会が平成29年に認定したものであります。

これらの事例を踏まえまして、実施方法につきましては、談合等の不正入札防止を目的として、建設工事や建設・測量コンサルタント等業務委託においては、平成23年度より電子入札による一般競争入札にて執行しております。また、物品購入や管理等業務委託においては、指名競争入札ではありますが、平成23年度より指名業者を事後公表する形で執行しております。

さらに、入札制度につきましては、契約約款において、独占禁止法違反行為があった際に契約金額の100分の20の賠償金の支払いを求める旨を平成31年1月1日付で追記するとともに、令和2年4月1日付で入札参加停止要綱を改正し、本市発注案件において談合や独占禁止法違反行為があった際には、入札参加停止期間を従来の12か月から36か月に延長し、談合等の違法行為には厳しく対処するよう改正いたしました。

今後も、引き続き公平・公正な入札制度の運用に努めてまいりたいと考えております。

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【要望】

入札談合とは、公共事業などの競争入札において、競争するはずの業者どうしが、あらかじめ話し合って協定すること。高い価格での落札や持ち回りでの落札で、業界全体で利益を不正に分け合うことです。これは、公正な価格競争を害し、発注元の国や地方公共団体の支出を増すことになり、刑法で禁じられています。

談合が行われたかどうかの検証は、その要件である、事前に落札者が持ち回りで決められていたかどうか、高値での落札かどうか、利益を不正に分け合ったかどうかが問われます。

今回の入札で、落札者が持ち回りで決められていたかどうかは、各市の入札で指名業者が多数であったにもかかわらず、応札したのは全て1社か2社しかなく、業者は自分の落札決められていたと思われる市では高値で札を入れ、違う市では競争に参加せず辞退するというものでした。

高値での落札かどうかは、最低制限価格のない入札で安値には底がないはずなのに、1社しか応札しない競争のない入札となり、落札率97.5%という高値の落札結果となっています。

利益を不正に分け合ったかどうかは、各市の入札に参加するはずの業者が入札による競争をせず1社のみが応札し、高値で利益を分配している結果を見れば、状況証拠が出そろって揃っていることが明らかです。

しかし、この談合疑惑の結果についての指摘に対して、市の答弁は、「談合が行われたとの認識はございません」とのことでした。談合の疑いの3要件が全部そろった入札結果に対してこの見識では、業者への入札管理能力が問われるのではないでしょうか。

入札談合について、市には捜査の権限はありません。しかし、談合により市の支出が不当に増やされたのではという疑惑を放置すべきではありません。

すでに広島では公正取引委員会がこの件で業界に立ち入り検査を始めています。自治体間でも連携をとって、談合の疑惑に対抗すべきだと考えます。

今後の入札業務の執行にあたっても、厳正・公正な入札を管理し、不当な談合を防止する厳しい対策をとられるよう要望しておきます。

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