2020年12月議会代表質問ー④聴覚障がい者の方たちが暮らしやすい福祉施策の充実をもとめて

2020年12月議会代表質問を、日本共産党を代表して岡田議員が行いました。(12月9日)

以下、「聴覚障がい者の方たちが暮らしやすい福祉施策の充実をもとめて」です。(正式な議事録ではありませんので、ご了承ください)。

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聴覚障がい者の方たちが暮らしやすい福祉施策の充実をもとめて伺います。

2013年に「障害者差別解消法」が制定され、2014年に「障害者権利条約」が批准され、障がい者の権利を守る国内法の整備がすすんでいます。障害者基本法で手話が言語として位置づけされ、富田林市でも2019年1月から「手話言語条例」が施行されました。その目的は「手話への理解の促進及び手話の普及に関して基本理念を定め、市の責務と市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本的事項を定めることにより、手話への理解の促進及び手話の普及を図り、もって全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現する」とし、市の責務として「手話への理解の促進及び手話の普及を図り、ろう者が手話を使用しやすい環境を整備するため必要な施策を推進する」こととしています。

富田林市手話言語条例制定以降、どのような施策が前進したのでしょうか、お聞かせください。

富田林市には、聴覚障害の身体障害者手帳を交付されている方は479人、日常的に手話を使用しているろう者の方は70人おられるとおききしています。

その方たちは聴覚障害のために、聞こえない・話せないことによる日常生活での悩みや困難を抱えておられます。「どんな場所で困りますか?」という問いには、最も多いのが、職場・学校の22%。次いで交通が21%、病院が18%というアンケート結果があります。特に命にかかわる医療の分野で、救急や病院での困りごとは深刻です。私たちの議員団へも相談や要望がよせられます。「病院に手話通訳者がいないので医師に症状を伝えることや医師の診察を聞くことが難しい」「待合で自分の名前が呼ばれてもわからない」「救急車を呼ぶのに119番ができないので、FAXになる」などの声です。

富田林市内の総合病院には、どこにも病院の手話通訳者が配置されていません。市では意思疎通支援事業として、聴覚・言語機能障害のある人が公的機関等に行く場合に、コミュニケーションの円滑を図るために手話通訳者および要約筆記者を派遣しています。

しかし、病院などへ聴覚障害の患者に付き添う「手話通訳者」は、コロナ不安のなかでも「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金事業」にもとづく、医療従事者や介護施設職員に支払われる慰労金の対象からはずされ「手当はゼロ」です。手話通訳者が存在しなければ、聴覚障害者は治療どころか診察を受けることも難しいのが現状です。

現在国には、病院に医療手話通訳者を配置する制度はありません。府下でも限られた病院にしか手話通訳者が配置されておらず、富田林市内にも手話通訳者が常駐している病院はありません。

公的役割を持つ総合病院である富田林病院に、医療通訳のできる手話通訳者を配置できるよう対策が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

国会では今年6月に、電話リレーサービス法案が全会一致で可決されています。「電話リレーサービス」とは、聴こえない・聴こえにくい人と、聴こえる人を、オペレーターが“手話や文字”と“音声”を通訳することにより、電話で即時双方向につなぐサービスです。

宮城県では9月28日から、兵庫県では9月30日から、「遠隔手話通訳派遣システム」の提供が開始されました。このシステムは、感染症の流行・災害時等で登録手話通訳者の派遣が困難な場合にも、現行の手話通訳派遣制度のワークフローにそったまま、登録手話通訳者の感染予防・安全を確保した上で、タブレットを使い遠隔による手話通訳派遣ができるシステムです。遠隔手話通訳において使用する端末は、施設に設置する端末ではなく、聴覚障がい者が保有するスマートフォンやタブレット等を利用できるものです。

本市でもろう者の医療や生活援助のために「遠隔手話通訳派遣システム」の導入を検討すべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

また、高齢の聴覚障がい者への通信環境支援策として、画面が大きく文字が見やすいタブレットと携帯Wi-Fiなどを支給できるよう措置が必要ではないでしょうか。見解をお聞かせください。

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以下、答弁要旨です。正式な議事録ではありませんのでご了承ください。↓

(1)平成31年1月の手話言語条例制定以降の取り組みといたしまして、手話言語条例に基づき、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため「手話施策推進方針」を令和元年8月に策定いたしました。

その手話施策推進方針にあります「手話を学ぶ機会としての出前講座の実施」につきましては、本年4月より新たに市の出前講座のメニューに手話講座を追加いたしました。

次に、「広報誌で手話の知識や簡単な手話についての連載の実施」につきましては、本年10月の市広報誌にワンポイント手話として「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」などの簡単な手話を絵入りで掲載いたしました。

また、「市民が手話に親しむことができる手話講座等の実施」につきましては、手話通訳士が富田林テレビに出演し手話の講座を放映いたしました。加えて「手話通訳者の処遇改善」につきましては、昨年4月より報酬単価の改善を行いました。

今後とも、手話への理解の促進、並びに普及を図り、ろう者が手話を使用しやすい環境を整備するための施策を推進してまいります。

(2)済生会富田林病院におきましては、現在、手話通訳者の配置はございませんが、聴覚障がいの患者さんが来院される際は、本市の意思疎通支援事業の手話通訳者を同行して受診されたり、一人で来られた場合はホワイトボード等による筆談で対応しておられます。

議員ご質問の医療通訳のできる手話通訳者の富田林病院への配置につきましては、新病院の建設費用の償還に加え、コロナ禍の影響もあり、非常に厳しい病院運営が続く中におきまして、困難な問題であると聞き及んでおります。

本市としましては、今後におきまして、本市が開催する手話奉仕員の養成講座を病院職員に受講していただくなど、病院内で手話通訳のできる体制が図れるよう要望してまいります。

(3)現在本市では、ろう者の意思疎通支援といたしまして、公的機関での手続きや病院での受診時に、市設置手話通訳士や市登録手話通訳者を派遣し、手話通訳を行っております。

しかしながら、重大な感染症の発生時や、地震などの大規模災害時には、手話通訳者を派遣することが困難な状況が想定されますことから、そのような状況におきましては「遠隔手話通訳派遣システム」は有効な手段であると認識しているところでございます。大阪府におきましては、新型コロナウイルスでのPCR検査時に、聴覚障がい者の方に対しまして、同様のシステムを活用されているとお聞きしています。

いずれにいたしましても、非常時や災害時の意思疎通支援の在り方につきましては、聴覚障がい者の方々のご意見もお聞きしながら、市設置手話通訳士、及び市登録手話通訳者の派遣方法、並びに遠隔手話通訳派遣システムの導入状況等も合わせまして、実施されている都道府県等の動向等を注視してまいります。

(4)個人で所有されていますスマートフォンにつきましては、技術革新等により、高性能化や大画面化が目覚ましく、タブレットと大差ない大画面のスマートフォンをお持ちの方も見受けられるところでございます。  

またタブレットにつきましては、国から日常生活用具の要件に該当しないものの例として示されており、支給は難しいと考えております。また、Wi-Fiの通信環境につきましても、Osaka Free Wi-Fiをはじめとする、フリーWi-Fiが、駅やコンビニエンスストア、大型商業施設などに設置されており、それらを活用することで多くの場所で無料のWi-Fiが使用できますが、その拡大につきまして、機会を捉えて国や府等へ要望してまいります。

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【要望】

聴覚障がい者の方の生活と権利を保障するための法整備が進み、電話リレーサービス法が国会でも可決されました。また、IT技術の進歩で、手話通訳者がその場に立ち会わなくてもタブレットを使った遠隔手話通訳で、聞こえない人に音声を手話にして伝え、聞こえる人に手話を音声にして伝えることができるようになりました。今年の9月から、宮城県・兵庫県でこのシステムの運用が始まりました。

コロナ感染が心配な医療の現場や、災害が起きた時の遠隔地でも手話通訳者がいなくても、ろう者が不自由なく安全に、だれとでも会話できるようになってきました。

このシステムとタブレットの端末を使いこなせるようになること、また、ろう者の方がこの端末を入手する経済的負担が当面の課題となります。

本市でも、ろう者の生活支援のために、一刻も早い「遠隔手話通訳派遣システム」の導入と、高齢の聴覚障がい者の方への通信環境支援のため、タブレット端末と携帯Wi-Fiの支給などの検討で、すべての市民が住んで良かった富田林と思える市政をつくっていただくことをお願いします。

以上で日本共産党議員団の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

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