2020年12月議会代表質問ー②人権協議会への市の対応について

2020年12月議会代表質問を、日本共産党を代表して岡田議員が行いました。(12月9日)

以下、「人権協議会への市の対応について」です。(正式な議事録ではありませんので、ご了承ください)。

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人権協議会への市の対応について伺います。

1969年に制定された同和対策特別措置法制定以来28年間すすめられた同和事業により、同和地区の居住環境や生活実態が急速に改善され自治体での同和行政は終結し、一般行政に移行しています。特定の身分や地域を分離・区別する時代は終わり、特定地域だけを周辺地域から区別する行政の扱いは、同和問題の解決に逆効果をもたらすものとなるものです。すべての市民の人権を平等にまもり生活を保障するというのが、市の一般行政の役割です。

市の巨額の財源を費やして、市営若松団地の新住宅が完成しましたが、特定の地域の住人しか入居できないという制限が廃止され、今年10月募集から、若松団地は従来の地域限定的な募集形態を廃し、甲田・錦織市営住宅と同様に、市内住民ならどの人でも入居の応募ができる、一般募集となりました。このことにより、行政による住民を差別的に扱う異常な市営住宅行政は収束し、同和問題をめぐる市民的融合の事業が大きく前進しました。

しかし、市が市営住宅の家賃集金業務を委託する人権協により、いまだに重大な人権侵害が引き起こされています。

若松町の市営住宅の家賃集金などの住宅管理業務の委託料が、人権協に毎年534万円支払われています。しかし、実際には人権協は家賃集金業務をおこなっておらず、住宅組合連絡協議会が家賃集金を請け負い、各棟の階段班長が集金業務をおこなっています。そして、階段班長は住宅組合連絡協議会から渡された住宅家賃領収表を持たされて、各戸を集金に回っています。その領収表には各戸の収入に応じた家賃額が記入されており、部落解放同盟の同盟費や解放新聞代も集金させられています。

市営住宅の住人にとって、他人に自分の家賃を知られることは、収入を知られることになり、同盟費と解放新聞代の集金をされることは、自分が部落解放同盟員であることと購読機関紙を知られることであり、個人情報保護法違反にあたる重大な問題です。誰が部落解放同盟員かという情報を外部に漏えいするなどは重大な人権侵害にあたります。また、ある同盟員ではない住宅家賃の集金人の方が「同盟費の集金するのは問題だ」と指摘したところ、班長を解任されるという事態もおこっています。

「個人情報の保護に関する法律」では、第15条 で、「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない」。また、第12条で、「 地方公共団体は、個人情報の適正な取扱いを確保するため、その区域内の事業者及び住民に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない」。と明記されています。

市が制定した個人情報保護条例でも、第8 条で「 実施機関は、個人情報を収集した目的以外に利用し、又は実施機関以外のものに提供してはならない。」「実施機関から個人情報取扱事務の委託を受けたものが受託した業務を行う場合について準用する。」と規定しています。

市営住宅の集金を名目に、人権協による重大な人権侵害が起きていますが、個人情報保護法にもとづく、「必要な措置」を講じるべきだと考えますが市の見解をお聞かせください。

また、市が家賃の集金業務を人権協に委託していますが、人権協職員は家賃の集金に行っておらず集金人には業務費用が支払われていません。市の委託料はどのように使われたのか明らかにしてください。

市は、人権協と「住宅管理業務委託契約書」をかわしています。その第8条では、個人情報の管理について、「受託者は、業務を行うにあたり、富田林市個人情報保護条例を遵守し、個人情報の漏えい防止のため個人情報の適正な管理をおこない、必要な措置を講じなければならない」、9条では守秘義務について、「受託者及び委託を受けた事務に従事しているものならびに従事していたものは、その事務に関して知りえた個人情報を他人に知らせ、または不当な目的に使用してはならない」、12条では「この目的に違反したときは、委託者、受託者それぞれはこの委託契約の解除及び損害賠償を請求できるものとする」とあります。

住宅管理契約を交わした人権協が、個人の収入がわかる住宅家賃額や、重大な個人情報である部落解放同盟費の情報を住宅住民に漏えいさせるという個人情報保護法違反を起こしています。市は住宅管理業務委託契約書で取り決めた12条にもとづき、委託契約の解除および損害賠償を求めるべきだと考えますが見解をお聞かせください。

市内には、若松・錦織・甲田の3つの市営住宅がありますが、若松住宅以外は家賃の集金は口座引き落としと納付書によるもので、現金での集金は行っていません。集金人による現金紛失などのトラブルもなく、市の業務も軽減される方式がとられています。しかし、若松住宅だけが住民による集金業務を現金でおこなっています。すべての市営住宅の家賃集金を、納付書か口座引き落としにして、無駄な出費をなくすべきだと考えますが、市の見解をお聞かせください。

また、人権協は過去にも市の施設である人権文化センターを市から貸し出されていましたが、無断で運動団体に事務所をまた貸しするなどの問題を起こしていました。人権協と市の間に交わされた「行政財産使用許可書」では、第6条で「使用財産の全部または一部を転貸し、又は使用権の譲渡をしたとき」は、「使用許可の全部もしくは一部を取り消すことができる」とあります。そのうえ人権侵害問題をひきおこしている人権協に管理業務を委託することは問題だと考えます。市営住宅の住宅管理業務は、専門の管理業者に依頼し、個人情報の漏えいや人権侵害問題が起こらないようにすべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

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以下、答弁要旨です。正式な議事録ではありませんのでご了承ください。↓

人権協への市の対応についての(1)から(5)につきまして順次お答えいたします。

(1)本市において、一般社団法人富田林市人権協議会に対し、住宅管理業務委託として、令和元年度で約394万円、駐車場管理委託で約138万円、合わせて約532万円の委託契約を締結しております。住宅管理業務委託の中には、若松団地における市営住宅使用料の集金業務が含まれております。

集金方法としましては、若松の各市営住宅は、毎年、会計と班長を選出しており、人権協議会は市営住宅使用料の集金を各会計に依頼し、各会計は市営住宅使用料の集金を各班長に依頼していると聞きおよんでおります。その際、この班長は、居住者組合の会費や町会防災会費の他に、市営住宅使用料や部落解放同盟会費及び解放新聞代も集金されているのが現状でございます。

また、住宅管理業務委託契約の中では、守秘義務も課しており、世帯のプライバシーには配慮するように指導しているところでございますので、人権侵害は起きていないと考えております。

(2)先に述べましたように、本市は人権協議会に対し、市営住宅使用料の集金業務を委託しており、人権協議会は各会計を通じ各班長に対し市営住宅使用料の集金を依頼しております。

人権協議会によると、困難なケースは人権協議会が直接集金に出向いており、班長任せではないとの説明であり、住宅管理業務委託料は契約に基づき、家賃収納に関すること、環境維持に関すること、補修に関すること、入居者との連絡調整に関することなどの業務を実施するための使途に使われております。

(3)人権協議会に対し、委託契約の解除及び損害賠償を求めるべきとのご指摘につきましては、本市は人権協議会に対し、守秘義務を課しており、市営住宅使用料も納入されていることから、「契約に違反したときは、契約の解除及び損害賠償を請求できる。」という契約書委託要領12条に、ただちに違反しているとは考えておらず、契約の解除及び損害賠償の請求を求めるべきとは考えておりません。

(4)口座振替の利用率は増えており、現金を扱うリスクについても、回避されるべきと考えておりますので、納付書の活用も含め、口座振替の利用を推奨してまいります。

(5)住宅管理業務委託のあり方については、本市の他の市営住宅である甲田住宅及び錦織住宅も含めた、市営住宅全体の課題と認識しておりますことから、住宅管理を専門とする業者への委託を含め、業務の効率化や入居者の利便性の向上を図るべきと考えており、具体的な制度設計を検討してまいります。

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【2問目】

質問は、「若松住宅の家賃集金業務の中で、人権侵害が起こっている。事実なら個人情報保護法第2条にもとづき、市は必要な措置をとるべき。」

答弁は、「班長が市営住宅家賃や部落解放同盟会費と解放新聞代を集金している。」という事実は認めたが、「人権侵害は起きていない」というものでした。市は、誰が部落解放同盟員かという情報が、人権協により同盟員以外の集金人に、本人の同意なく漏えいされている事実を認められました。

これは明らかに個人情報保護法違反にあたるものであり、また、個人が部落解放同盟に所属しているかどうかは、人権問題の中でも、出自に関すること・思想の自由を守ることとして秘密中の秘密とすべきことで、それを同盟外部の人に漏えいさせることは、部落解放運動の課題の中でも闘われてきた最高クラスの人権侵害問題です。 答弁は、「人権協は各会計を通じ各班長に対し、市営住宅使用料の集金を依頼しております」とのことでしたが、「委託料がどのように使われたのか」への回答がありません。

(2)質問は、「人権協に家賃集金を依頼しているが、人権協は集金に行ってない」「委託料はどのように使われたか」と、うかがいましたが、この事実を、「個人情報の漏えいは起きていない」「人権侵害は起きていない」とする市の答弁は、撤回すべきだと考えます。長年、部落解放運動に取り組んでこられ、職員のなかでも最も高い見識をお持ちの、市長の見解をお聞かせください。

自治会費や町会費を持ち回りで集金するときは、通常集金担当の人に費用は支払われません。町会の自主的な財政の行方を聞いているのではありません。市営若松住宅の管理業務に、市の委託料として人権協に532万円支払らわれており、家賃集金業務のため階段班長が集金にあたっておられます。この費用が集金人に支払われていないのです。人権協に支払っているのは業務委託料です。何に使ってもいい団体補助金ではありません。  答弁は、「市は人権協に対し、守秘義務を課しており、住宅使用料も納入されていることから、契約に違反しているとは考えておりません」とのことでしたが、質問は「市は住宅管理業務委託契約違反に対し、契約解除を求めるべきでは」です。

人権協職員は集金に行っておらず、集金業務をしている班長さんには委託料が支払われていないのです。市が支払った家賃集金委託料はどこで止まっているのか、どこに消えたのか明らかにしてください。私が質問したのは、市が人権協に住宅家賃の集金を委託した業務に支払われるべき公金、委託料の行方です。

問題は「守秘義務を課しているのは市で、守らなかったのは人権協だ」ということです。人権協が家賃集金に際して、個人情報を漏えいさせていたことは市も認識しているところです。

人権協と交わした業務委託契約では、9条で守秘義務を定め、12条で違反した場合の契約解除を定めています。したがって市はかわした業務委託契約通り、おこなわれた違反行為に対しては、契約解除をもって当たらなければならないということです。見解を。(4)質問は、「すべての市営住宅家賃集金を納付書か口座引き落としにして、集金委託料という無駄な出費をなくすべき」市内のほかの市営住宅ではすでに納付書と口座引き落としで、家賃の集金がおこなわれています。市がやると言えば来月からでもすぐに可能なことです。このまま人権協に家賃集金を業務委託すれば、必要のない市の支出が続き、人権侵害が継続されるだけです。いったい、いつ実施されるのでしょうか。お聞かせください。(5)の質問の回答では、「市営住宅の住宅管理業務委託を、住宅管理を専門とする業者に委託する制度設計を検討する」とのことでした。答弁は「進めていきたい」ということでした。

この方向は、今起こっている、人権協による人権侵害や、委託金が集金人に支払われないなどの問題を解決することにつながると考え、評価します。

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