2021年6月議会◆代表質問 前文と①農業施策の充実をもとめて-質問と答弁

はじめに、新型コロナ感染をめぐる動向について触れておきます。

富田林市では、ワクチン接種の予約が5月7日から始まり、当初「コールセンターに電話がつながらない」「ネットの予約の方法がわからない」などの混乱がありました。自治体によって、申し込みの方法や接種の方式など、それぞれ違っています。集団接種が始まってからは、「在宅で重い障害をもつ息子が接種を断られた」「PLの会場は間仕切りがなかったので、プライバシーが気になった」などの声をききました。しかし、接種会場では医師会と市の職員の皆さんの奮闘で、接種は順調に進んでいます。

菅内閣はコロナ対応の緊急事態宣言を6月20日まで延長することを決めました。4月25日に始まった3度目の宣言が2か月近くに及ぶことになります。昨年来、政府は緊急事態宣言を出しては延長し、解除してはリバウンドを招き、再び宣言を発することを繰り返してきました。

ワクチン接種、検査、医療支援、補償のどれをとっても菅政権の対応は全く不十分です。それどころか中途半端な「Go Toキャンペーン」を強行して、全国に感染を広げてしまいました。日本のワクチン接種はおくれており、人口当たりのワクチン接種率は世界で118位、PCR検査も「いつでも、誰でも、何度でも」とは程遠く、検査の実施率は世界で144位です。

ワクチン接種の遅れの原因をつくってきた背景には自公政権による、長年の社会保障改悪や自治体職員減らしがあります。日本の医師の数は経済開発機構(OECD)のなかで、最低水準に落ち込んでいます。しかも、医療機関では新型コロナ感染者の入院・治療が追いつかないなかでも、菅政権は436の公立・公的病院の再編統合をすすめようとし、4月21日には今年度約1万床の病床削減と医師養成数抑制につながる「病床削減推進法」を成立させています。

大阪府では現在、新型コロナで(2526人)が亡くなっており、人口当たりの死者数は全国平均の3倍で、アメリカやインドより死亡率が高いという状態が続いています。これは「第3波」のあと吉村知事の判断で、223床あった重症病床が156床まで減らされ、重症者が病院に収容できなくなり、命を落としていくようになったことが原因です。

この新型コロナ感染症を封じ込める妨げになっているのが、オリンピックの開催です。世界にパンデミックがひろがり、日本でも感染拡大が止められないなかで、国民の命より、五輪を優先するのかが問われています。国際オリンピック委員会(IOC)の幹部は「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」「日本が緊急事態宣言を出していても開催する」「五輪の夢を実現するために、犠牲を払わなければならない」などと、とんでもない発言をしています。

日本でのコロナ対策医療がひっ迫し、65歳以上の高齢者のワクチン接種も終わらず、ほとんどの国民がワクチン接種も受けていない時期でのオリンピック開催は、世界的パンデミックが収まっていないこと、国によって練習状況に格差があり、日本に来ても外国選手の受け入れが満足にできないこと、日本の医療体制に大きな負担となることがあり、この時期に強行しようとする日本政府の責任が問われます。感染・医療対策とコロナ感染抑止がすすまないなかでは、政府が国民の命を守る立場から、オリンピックの中止を決断すべきだと考えます。

東京都小金井市では、オリンピックを中止し、医療崩壊の回避やワクチン接種の早期完了、生活困窮者の救済に全力を挙げるよう国と都に求める、意見書が賛成多数で可決されています。

新型コロナ感染症を封じ込めるために、ワクチンの安全・迅速な接種をすすめること、社会的検査を抜本的に拡充すること、打撃を受けている中小企業、個人事業主、労働者に十分な補償と生活支援を国に求めるものであります。 

それでは、通告に従い質問をおこないます。

富田林市の農業振興政策の充実をもとめて伺います。

農業は国民に食料を供給し、国土や環境をまもる社会の基盤ともいえる産業です。自然条件の制約を大きく受け、自然との共生・循環の中で営まれる産業であり、先進諸国の多くは、市場任せにせず、政府が手厚い保護を行っています。   

しかし、日本の農業は、耕作放棄地が広がり、生産基盤が弱体化し、先進諸国で最低となった食料自給率は38%まで低下し、危機的な状況が広がっています。

今年4月に公表された2020年農林業センサス結果の概要によりますと、農業経営体数は5年前と比較して21.9%減り、農業者の減少に拍車がかかっています。基幹的農業従事者の77.4%が65歳以上と、高齢化も著しく進行しており、富田林市でも、同様の傾向です。

富田林市の農業の現状について、農業従事者数、専業農家戸数、耕地面積、耕作放棄地面積などの、5年、10年前からの推移と、富田林市の農業の特徴をお聞かせください。

日本政府による農業政策で、関税ゼロを原則とするTPP(環太平洋経済連携協定)の強行、TPPを上回る譲歩を含むEUとの経済連携協定の発効、日米FTA(自由貿易協定)交渉の開始など、歯止めのない輸入自由化がすすめられてきました。国内政策でも、農業に大規模化や競争力強化を押しつけ、中小の家族経営は「非効率」として切り捨てられ、農地法・農協法・種子法など、戦後の家族農業を支えてきた諸制度が次々に解体されました。

政府は2018年4月、米・麦などの種子の開発・普及は都道府県の責任としてきた主要農作物種子法を一方的に廃止しました。種子の供給が民間企業に委ねられ、種子代の高騰を招き、多国籍企業の支配に道を開くことになり、日本の農業を脅かしています。これに対し、従来の仕組みを守るために独自の種子条例を制定する動きが全国の自治体で広がっています。

政府は、農家が種を取り翌年それを利用するという種子の「自家増殖」の原則禁止を打ち出し、種苗法を「改正」するとしています。国連総会が採択した「農民の権利宣言」は、種子の自家増殖や販売、利用などは農民の権利だと明確に定めています。それに反する種苗法の「改正」は許されません。伝統的な農業や地域品種など多様な種苗を掘り起し、広げることを援助する必要があります。

種子は農業にとっての基本的な資材です。公的機関が主要な種子の開発・普及などに責任を持ち、農業者に優良で安価な種子の供給を将来にわたって保障する法制度が不可欠です。国会では野党が共同して種子法復活法案を提案していますが、従来の仕組みを守るために、大阪府に独自の種子条例を制定することを求めるべきだと考えますが、市の見解をお聞かせください。

農業の再生にとって不可欠なのは、大多数の農業者が安心して農業に励み、農村で暮らし続けられる条件を広げることです。現に農業に従事している人はもちろん、後継者や非農家からの新規参入を増やし、深刻な担い手問題を解決するうえでも、決定的だと考えます。

2020年に市の農業委員会がおこなった、富田林でのアンケートでは、富田林市内の農業従事者から深刻な声が寄せられていました。

「今後、農業を維持することができない」「今の農業機械が使えなくなったら離農するほかない」など切実な内容でした。

また、東条地区実行組合と東条地区農業活性化協議会のアンケートでは169名から回答があり、そこでは、「高齢化が進行している」「後継者がいない」「耕作放棄地が増加する」ことなどが問題、との声が多数ありました。そして、「今後、あなたの家の農業経営は何年続くか」との問いには、「5~10年」が44%、「5年未満」が23%と大半の方が、10年以上続けられないと考えておられます。

農業の担い手を確保するうえで、これらの農業従事者の悩みに対して、展望を示す必要があります。市が今年度に策定を予定している「都市農業振興基本計画」で、どのような対策を示すのかお聞かせください。  

農業後継者を育て、新規参入を増やすには、農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせることが重要です。

農業は、自然の制約を受け、中小経営が大半であることから、他産業との取引条件が不利であり、政府による下支えがなければ経営は維持できません。なかでも農産物の価格保障は、農業に豊作凶策による変動や生産価格の乱高下が避けられないなか、農業者に再生産を保障し、意欲と誇りを取り戻し、食料自給率を向上させる基礎的条件です。アメリカでさえ主な農産物に生産費を保障する仕組みを二重三重に、もうけています。

今日の農村で中小農家の経営が成り立つためには、農産物の共同販売や資材の共同購入なども欠かせません。担い手の育成、集落営農への支援、資金の確保、生活物資の供給など農村社会のインフラとしての、総合農協の役割も重要です。

生産者米価は下落を続け、1俵60キロの米を作る生産費は1万5千円をこえているのに、農家の手取り米価は1万2千円前後です。富田林市では米作だけで生計をたてられる農家はほとんどなくなりました。富田林の農業の担い手づくりを確保し、農業を安定させるためにも、国に対し、農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせて求めていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。

また、富田林市では、大都市近郊の立地を活かした野菜の施設栽培が専業農家の経営モデルとなっていますが、施設の設置には多額の資金が必要です。農業施設設置の補助の充実をもとめますが、見解をお聞かせください。

近年、都会から農村に移住し、集落の農業や地域づくりに参加する若者が増えています。国民のなかに価値観の変化が生まれ、人間らしい働き方や暮らし方を農業と農村に求める若者が一定数いることの表れです。営農条件が抜本的に改善され、新規参入者への支援が本格的に強まれば、農業や集落の新たな担い手が大幅に増える可能性があることを示しています。

新規就農者総合支援のためには、営農定着までの生活費の支援、就農希望者の研修・教育機関の整備、農地や住宅の確保、資金、技術の提供、販路確保などに国・自治体・農業団体などが一体となった総合的な支援体制が必要です。農業次世代人材投資資金の活用や、農業者大学校や各種農業研修制度への支援を強め、新規就農者にたいし、営農と暮らしの両面から支援を行うことについて見解をお聞かせください。

また、農業法人に雇用される形で農業に従事する人も増えています。就農希望者を雇用する大規模経営や団体、法人を支援し、雇用の面からも就農を広げる対策はどのようにとられているのかお聞かせください。

豊かな自然と農業が身近にあることは富田林の大きな魅力です。市内に住む市民や市外の人にも、この魅力にふれ体験できる機会を提供できれば、農業振興だけではない、市の発展の方向が広がると考えます。

耕作放棄地がたくさん生まれている一方で、都市型住民が市民農園などを気軽に体験してみたいという要望も増えています。

市民農園、クラインガルデンなど、市民が農業に触れ、富田林の魅力ある町を体験・満喫できるための方策については、どのようにお考えでしょうか。

多発する自然災害に対し、農業施設や農業経営の再建への支援の強化について伺います。

近年、自然災害による甚大な被害が続発し、被害が発生した場合、復興に迅速に取り組めるよう、万全の支援体制を準備しておくことが求められます。

農業災害補償制度の充実をはかる必要がありますが、農業共済における米・麦などの当然加入制度が廃止になり、組合員の減少による共済組合の事業の縮小・弱体化が懸念されます。災害時に農業者の経営を維持し、地域農業を支える農業共済事業の重要な役割が引き続き発揮されるよう、加入者の促進、事務費の援助の対策はどのようにお考えでしょうか。

また、農業用施設の老朽化や整備についての対策ですが、市内の河川に設置されている農業用水引き込みのための風船ダムが古くなり、劣化による破損事故の発生が心配されていますが、対策はどのようにお考えでしょうか。

大阪府によるため池の耐震調査がおこなわれ、問題のある個所が判明していますが、ため池の耐震化の対策はどのように進められるのでしょうか。 

農道、水路など農業施設の維持管理では、水路の土砂上げと草刈、農道の草刈りなどが、関係者の高齢化により困難になっています。水利組合や農道管理組合の役員の確保もむつかしくなり、農地を耕作放棄しても、順番で水利委員をしなければならず、特に、水源を「池」に頼っている地域の負担は大変です。

水路改修や農道補修は、市の制度を使っても「地元2割負担」があり、農業収益が見込めない中では、大きな負担となっています。

農道、水路の維持管理についての対策をお聞かせください。 

農業資源を生かした循環型の地域づくりについて伺います。

農村には、新鮮で安全な農産物、地域に根づいた食文化、うるおいある田園空間、祭りや伝統芸能、自然を生かした生活技術など、都会にはない豊かな資源、営み、文化が蓄積されています。

千早赤阪村では、道の駅で地元の農産物を生かして、イチゴの直売、ピザや焼き芋、地元食材を提供するレストランなどがあり、土日は若者たちで満員です。泉佐野市では地元のサツマイモを使ってスイーツ店が連携して商品を開発し、市がふるさと納税の返礼品に提供しています。

富田林のサバーファームのレストランや「にこにこ市場」を活用して、新規営農者がつくる農産物の販売や、イベントの開催などで、農業を中心にしながら地域の多様な資源を活用して農産加工や販売、観光の促進などで循環型経済をめざす対策について、見解をお聞かせください。よろしくお願いします。

 

【答弁】

まず、(1)についてですが、農林業センサスの統計調査によりますと、農業従事者数につきましては、10年前の平成22年は1,327人で、5年前の平成27年は1,081人、令和2年には863人となっております。また、専業農家戸数は、10年前は184人で、5年前は144人、令和2年には96人になっております。耕地面積は、10年前は682haで、5年前は664ha、令和2年は645haとなっております。耕作放棄地面積につきましては、農林業センサスではデータがございませんが、本市農業委員会の農地パトロール調査によりますと、10年前は10.2ha、5年前は7.6ha、令和2年は荒廃農地を除くように集計方法が変わったことから、0.6haとなっており、農業従事者数、耕地面積等全てにおいて減少しております。

本市農業の特徴といたしましては、専業農家戸数のうち、稲作専業農家が減少する中で、ナスやキュウリ等の本市特産物を栽培する専業農家は、新規就農者の加入により近年増加傾向にあります。

次に、(2)についてですが、種子法は、米や麦、大豆といった主要作物の優良な種子の生産と普及を促進するため国が果たすべき役割を定めた法律ですが、民間企業の品種開発意欲を阻害している等の理由で平成30年4月に廃止されました。本市では、稲作専業農家は以前と比較して減少傾向にありますが、従来の種子の生産と供給体制を堅持するため、全農大阪が主体となり品質の確保等に努めておられます。現在のところ、従来どおりの種子の生産、供給体制がとられておりますことから、現時点では種子法廃止に伴う明確な影響はないようでございますが、今後の動向・状況を踏まえ、大阪府に働きかけて参りたいと考えております。

次に、(3)についてですが、現在、令和3年度末に富田林市都市農業振興基本計画の策定を目指しているところでございます。

令和2年度に策定委員会で検討を行った「担い手の確保」、「農地の保全・高度活用」、「農観光の推進」を基本的方向性といたしまして、農業の担い手の育成のほか、農業経営の支援や農地の有効活用などさまざまな施策の展開を目指しております。また、市内各地域の農業の特色を生かした地域ごとの農業施策を検討し、基本計画の中で取り組んで参りたいと考えております。

次に、(4)についてですが、農産物の価格保障の取り組みといたしまして、ナス・キュウリ・ずいきといった対象野菜の価格が下落した際に、生産者に対し価格差補給交付金を支給し、生産者の経営安定に努めるよう野菜価格安定事業に取り組んでおります。本市といたしましては、ナスやキュウリといった高収益野菜の栽培による所得確保の推進により、農業者の所得を安定させていきたいと考えておりますが、所得補償制度は国が措置すべきものでありますことから、今後の動向・状況を踏まえ、国や大阪府に働きかけて参りたいと考えております。

次に、(5)についてですが、新規就農者への支援といたしましては、次世代を担う農業者となることを志す農業者に対し、就農直後の経営確立に資するため、国の農業次世代人材投資資金を活用することにより、新しい時代に必要な人材力の強化を図る取り組みを行っております。また、地元の若手専業農家の方々が中心となって組織された団体が設立した農業塾「富田林市きらめき農業塾」では、農業を営む上での課題に対し、営農と暮らしの両面をサポートする体制作りが進められております。本市といたしましては、新規就農者が安定して営農できるよう様々な支援を検討して参ります。

次に、(6)についてですが、農業施設設置への補助については、大阪府が推進する大阪版認定農業者支援事業により、ハウス等の農業施設の整備を行っております。

次に、(7)についてですが、本市では、農業法人や個人事業主に雇用される形での就農の人も増えているようで、担い手確保の観点から大変重要と認識しております。今後につきましては、大阪府やJA等と就農に関する情報共有を緊密に図りながら、希望者のニーズに応じた就農先の斡旋や農地の情報提供など支援して参ります。

次に、(8)についてですが、本市では、市民農園が23箇所あり、開設時の看板の設置や、日常の維持管理のために補助金を交付した実績があります。

市内23箇所の市民農園は、ほぼ定員に達している状況であり、団塊世代の増加という状況のなかで、その需要は今後益々増加するものと考えております。本市といたしましては、遊休農地を活用し、地域の自然条件を生かした形で魅力ある街づくりができるよう、クラインガルデンなども含め、市民農園開設者や地域の方々と連携して参りたいと考えております。

次に、(9)の①について、お答えさせていただきます。

近年、自然災害による甚大な被害が続発していますが、災害時に農業者の経営を維持するために、大阪府農業共済組合の園芸施設共済保険を活用し、再建に迅速に取り組めるよう体制が整えられています。園芸施設共済保険の役割が十分発揮されるよう、加入者促進に向け、各地区の農業実行組合を通じてチラシ等の配布を行い、周知に努めてまいります。

次に、(9)の②についてですが、まず、ⅰについてお答えいたします。

農業用取水施設でありますゴム製の井堰、通称風船ダムにつきましては、本市内の石川だけで7基設置されております。多くが昭和の時代に築造された施設であり、ゴム部分が劣化や亀裂、変形するなど一部不具合を招いていることから、地元水利組合等からの要望によりまして、令和元度から順次、大阪府土地改良事業団体連合会において施設の劣化度調査を実施しているところでございます。

風船ダムが正常に稼働しない場合には、田畑へ水が引けなくなることは当然ながら、大雨などの増水時に水を正常に放流することができなくなり洪水となる恐れもございますことから、市民の安全、安心な暮らしを守るためにも予防措置として早い段階で改修工事を実施する必要が生じてまいります。

しかしながら、改修工事にあたっては、1基あたりの事業費として数億円規模の費用が想定されますことから、地元水利組合等と協議を重ね、さらなる地元負担金の減少となるよう、国や大阪府へ要望を行うとともに、補助金を有効活用できるよう検討して参ります。

次にⅱについてですが、ため池耐震診断につきましては、大阪府南河内農と緑の総合事務所において、平成26年度から水防上重要な市内のため池46か所を対象に行っているところでございます。令和2年度末までの診断数は35か所で、そのうち8か所が耐震性が低く、安全な水位まで下げるための工事を実施するなど一定の対策が必要なため池と診断されました。

これらのため池に対しては、大阪府とともに地元水利組合に対策の必要性をご理解いただき、直ちに対策工事が可能なものにつきましては、実施に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。

しかしながら、水利組合との調整では、利水の観点から水位を下げることが難しいため池もありますことから、直ちに対策工事が実施できないものもございます。このような場合につきましては、地元水利組合が出来るだけ低水位で管理していただきますよう協議を進めてまいります。

次に、ⅲについてですが、農道や水路等の農業用施設の維持管理につきましては、地元水利組合等にお願いしているところでございます。経年劣化等により修繕工事の必要性が発生した場合は、工事の規模にもよりますが国や大阪府に補助金をお願いするなど、地元水利組合等の負担が極力少なくなるよう努めているところでございます。

昨今、農家の高齢化や新たな担い手不足による農業離れが加速していく中、農業用施設の維持管理が大変厳しい時代になってきていると痛感しておりますが、市の財政が厳しい中でも、地元に寄り添いながら、市の制度を使った現在の制度を維持して参りたいと考えております。

続きまして、(10)について、お答えさせていただきます。

本市の特産品である、ナス、キュウリ、海老芋などはもとより、本市の農産物を使って加工することで、本市農産物の付加価値を高めることができると考えております。例えば、サバーファームの「にこにこ市場」を活用して、市内外にPRを行うことで販売の促進を図り、交流人口の増加や富田林市の魅力発信も期待できるものと考えております。いずれにいたしましても、農産加工や販売、観光の促進などの循環型経済も含めまして、今年度策定予定の都市農業振興基本計画の中で検討して参りたいと考えております。

以上でお答えとさせていただきます。

【要望】

農業振興政策について要望しておきます。富田林では農業従事者が、10年前に1327人だったのが、昨年には863人へと35%減少し、専業農家数も184戸から96戸と、たった10年で半減しています。農業従事者へのアンケートで「このままでは、農業を続けられない」「後継者がいない」などの切実な声がよせられていましたが、その実態はこの数字となって現れていると思います。

そんななかでも、ナス、キュウリなどの本市特産品を栽培する農家が、新規就農者の加入などで増加していることは、今後の本市の農業の発展のひとつの方向でもあるといえます。

市では府下初めての取り組みである、新規営農者のために営農も暮らしもサポートする「きらめき農業塾」が、若手専業農家のかたたちを中心に設立され、新たな農業後継者づくりが始まっています。伏見堂地区では農地中間管理機構と連携して、大規模な圃場整備事業が大阪府に申請されており、農業分野での新しい試みが始まっています。

市としても、自然環境の保全と防災治水にもつながる、農業振興については、市の重要な産業の発展策と位置付け、農業従事者の暮らしを守る施策を前進させていただくよう要望しておきます。

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