2021年6月議会◆ジェンダー平等 56条廃止を!請願討論全文

6月議会最終日、本会議場で、「ジェンダー平等社会」と「個人の尊厳」に逆行する、『所得税法第56条の廃止をもとめる請願』に、賛成の立場で、日本共産党議員団の討論をおこないました。

以下、全文です。↓

所得税法第56条では「事業者の親族が支払いを受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上、ないものとみなす」として、働いている実態があり、それを正しく申告しようとしても、その所得は「計算上ないもの」とみなされてしまいます。

白色申告している個人事業主の配偶者や家族が家業に従事した際にその対価を支払ったとしても、所得税法第56条により、それは必要経費として認められないのです。働き分が認められないため、家業でともに生計を立てている女性たちが、年金や社会保険の水準が低く抑えられているだけでなく、「親の跡を継ぎたい」と家業に励んでいる後継者の働く意欲も奪われています。

2015年に閣議決定された、政府の第4次男女共同参画基本計画では、「女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度の在り方を検討する」と明記されています。ジェンダー平等と個人の尊厳をもとめる本請願趣旨は、人権の尊重をもとめる請願としても理解できる内容です。

総務文教常任委員会での反対討論の中では、「税の公平性を担保するため」や「抜け道封じ」という意見がありましたが、それならばその公平性の担保と「正しい申告で、正しく納税」という原則を妨げているのが、所得税法56条ですから、この請願に賛成すべきだと考えます。

青色申告を選択した場合には節税ができ、白色申告では実際に働いている家族の給料を経費として計上できません。家族労働の実態を反映させないという結果、「税の公平性」を妨げているのが、所得税法第56条なので、その廃止をもとめているのです。

また、反対討論で、「57条があるから青色申告をすればいい」という議論がありましたが、この請願で問われているのは、56条です。「57条があるからいい」というのなら、それは56条がいらないことを証明しただけで、廃止をもとめる請願の反対理由になっていません。

そもそも、どの申告方式を選ぶのかは納税者の自由な選択に任されるべきものです。所得税法第57条では青色申告での、「事業に専従する親族がある場合の必要経費」を認めており、第56条では「親族の所得は計算上ないもの」とみなされています。56条を廃止し、家族労働の実態を申告に反映させることができれば、実態通りの正確な納税を進めることができるようになります。

また、「労働の実態があったかどうか」は青色・白色に関係なく、実態を調査すればわかることで、申告方法が問題なのではありません。すでに白色申告者も2014年から、記帳が義務化され、給料の支払いも記録されています。

 国際社会からも勧告を受け、政府自身も「女性の家族従業者が適切に評価されるよう税制のあり方を検討する」としています。全国ではすでに3割をこえる自治体が、所得税法56条の廃止や見直しを求める意見書を可決しています。

女性労働者は、職場での男女平等をもとめて法整備と権利を獲得してきました。業者夫人も生業とする仕事の持ち場で必死に働き、一人の人間としての働き分と、個人の尊厳を求め続けています。

配偶者とその家族が事業に従事した対価の支払いを認めないという、所得税法第56条は、ジェンダー平等を否定し、「個人の尊厳」を軽んじるものです。    

所得税法第56条の廃止をもとめる本請願の趣旨に賛同し、請願第3号への、日本共産党の賛成討論とします。

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