2021年9月議会◆代表質問①市庁舎建て替えの分散配置撤回をもとめて

代表質問の原稿と答弁をアップします。少し当日言い回しなど変わってしまったところがありますが、そのまま原稿をアップします。正式な議事録ではありませんので、何卒ご了承ください。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

はじめに、市庁舎建て替えの分散配置の撤回をもとめて、質問をおこないます。

市庁舎の建て替え問題は、長年、市民、専門家、議会、職員の意見を聞き検討を重ねて、現地建て替えという結論を出し、市の広報で今年2月に市民に周知されました。

しかし今、検討をお願いした市民や専門家、議会や職員を無視して、一方的に市長が、市役所を分断し、すばるホールの利用者を締め出そうという、とんでもない暴挙を強行しようとしており、すばるホール利用者をはじめ、多くの市民から抗議の声や請願が寄せられています。

築50年が過ぎた現市庁舎が、北館の耐震性能の不足や設備の老朽化など、大災害発生の際、市役所の崩落防止を含め、災害復旧の役割を果たせなくならないよう、全庁を挙げてこの問題の検討にあたってきました。

2006年に庁舎の耐震診断をおこない、北館・別館ともに1981年の建築基準法改正に伴って規定された「新耐震基準」を下回っていることが明らかにされました。

そして、2018年に「富田林市庁舎耐震化庁内検討会義」が設置され、翌年、「市庁舎の整備にあたっては主要な課題である耐震性能の不足を解消するとともに、災害時の防災拠点として高い耐震性能とより良い市民サービスの提供や、効率的・効果的な行財政運営を可能とする庁舎づくりを行います。」と報告書がまとめられました。

その中で、すでにすばるホールへの分散配置についても重要な指摘がされています。

市庁舎を「他の場所に分散することは、各種手続きのワンストップ化がはかれず、市民の利便性という視点では、問題を残すことや、他の公共機関とも離れる等の問題がある」こと、「すばるホールは、建物の用途上、1500人もの客が集中することを考慮しており、共用スペースが非常に広いが、執務スペースとしては、2700㎡程度しかありません。現在の市本庁舎の事務スペースが約3800㎡程度、総務省基準の5315㎡であることからすると現状のままで市本庁舎としての活用は困難」であること、「そして、何よりも現在のすばるホールを廃止した場合の代替機能の確保等に課題が生じること、災害時の防災拠点と考えた場合、消防本部と離れていること。BCP(業務継続計画)における執務室の確保においては、周辺に公共施設がないため、他の公共施設との連携が困難であると考えられます。」という判断です。

そして、2019年に「富田林市庁舎整備基本計画策定委員会」が設置され、建築、都市計画、防災の専門家や団体、市民の公募などにより基本計画策定のための検討・協議が始まりました。その過程では、市民アンケートや市民ワークショップ、団体ヒアリング、パブリックコメント、職員アンケートなどを実施し意見を取り入れ検討が進められました。

2020年4月には、議員全員が出席する総務文教常任委員会で、庁舎建て替え問題についての議会審議がおこなわれ、庁舎の候補地については現地建て替えですすめること、財源に市町村役場保全事業債を活用できる期間内に基本計画を策定すること、新庁舎が15500㎡の大きさになることなどを確認しました。

昨年(2020年)11月には、庁舎整備基本計画策定委員会により基本計画が策定されました。そこには、庁舎機能の一部移転についての見解は「庁舎機能が分散されてしまい、市民の利便性への対応が難しいことや、市の中心拠点としての役割が十分果たされないことが考えられるため、今回の庁舎整備では『庁舎機能の一部移転』を考慮しないことを前提とする」ことが結論として明記されました。

また、国が提示する起債対象事業費算定基準による庁舎規模は15000㎡となりますが、さらにコンパクト化して、基準面積を1000㎡削減した14000㎡とし、付加機能面積の1500㎡と合わせて、庁舎全体面積を15500㎡と設定されました。

そして、この庁舎建て替えの基本計画を進めるため、8000万円を投じて建築マネジメントのコンサルタント会社を入れ、2021年3月には、設計者をプロポーザル方式で選定し、日本でもトップクラスの設計会社などが参加して、現地建て替えのプランが採用されました。市からは、市の人口動態や財政状況も示して、各社からプランが出されましたが、庁舎の分散を提案する設計などは一つもありませんでした。

先日プロポーザルで選定された設計事務所の方とお会いする機会があり、庁舎分散が基本計画の変更であること、またすばるホールに庁舎移転するなら耐震補強が必要なこと、庁舎整備基本計画も読まれており、すばるホールに「一部移転しない」と結論を出した理由も十分認識されていました。設計を業とするものの当然の見識をもたれていました。

それを4月16日の庁議で、市役所を分散配置で建て替えると決め、4月26日の議員の全員協議会で、1枚の紙切れだけで報告され、5月広報ですばるホールの一部施設が利用できなくなる旨が議会審議もないままに掲載されました。

市民や議会を軽視し、専門家による多くの指摘にも耳をかさず、民主的な手続きを踏みにじる独裁行政というべきものであり、許されるものではありません。

基本計画の決定を無視し、すばるホールへの庁舎移転のプラン変更は、週替わりのようにその内容を二転三転させてきました。こんな思い付きに振り回される、職員も市民もたまったものではありません。

直ちに計画を元に戻し、庁舎整備基本計画策定委員会が昨年11月に策定した『庁舎機能の一部移転』を考慮しないことを前提」とした庁舎整備基本計画に立ち返るべきです。

私たちは6月議会でもこの問題を取り上げ、警鐘を鳴らしました。しかし、市長は「新庁舎建設に係る施設計画詳細方針について」と基本計画の変更を説明し、分庁舎化を強行しようとしています。これには大きなごまかしと誤りがあります。

基本計画を決め、それにもとづいて詳細方針を具体化するのが本来の事業の進め方です。庁舎建て替え事業の基本計画の大きな課題は、整備場所と庁舎面積です。庁舎の建て替え場所を「現在地とする」という、庁舎整備基本計画策定委員会の決定を、「新庁舎とすばるホールの分庁舎方式とする」というのは基本方針の変更です。詳細方針ではありません。

市長は基本方針の変更を提案していることを認識されているのでしょうか。

庁舎整備基本計画策定委員会の目的は「市庁舎整備に係る基本計画の策定」であり、委員の任期は「基本計画の策定まで」と設置要綱で決められています。

現在地を整備場所とせず、全面建て替えとしないのなら、基本方針の変更が提案されたということであり、庁舎整備基本計画策定委員会の目的は達成されていないことになり、新しい整備場所の結論が出るまで委員会の任期は継続しており、この問題は市の要綱にもとづき庁舎整備基本計画策定委員会で検討すべきで、市の要綱を無視して基本計画を変更できないものですが、市の見解をお聞かせください。

市長が素人判断をして右往左往しないため、8000万円を投じて建築マネジメントのコンサルタント会社を選定したはずです。突然の基本計画変更は、プロポーザルに参加し設計プランを提案した設計会社に対する、詐欺行為とも言えます。コンストラクション・マネジメント・コンサルタント会社が、基本設計の変更を指示したのでしょうか。それとも、市長がコンサルタント会社のアドバイスを無視したのでしょうか。

また、庁舎整備基本計画策定委員会と庁舎耐震化庁内検討会議の報告を理解できず市長に専門家としてのアドバイスもできないコンサルタント会社ならば、8000万円は無駄使いであり、即刻選定のやり直しをすべきだと考えますが見解をお聞かせください。 

もう一つ大きな問題は、すばるホールを市の分庁舎として「事業の効率性をはかる」としていることですが、とんでもないことです。

庁舎整備基本計画は、耐震化した市役所を元の場所で建て替えるというもので、市役所庁舎には、大規模地震にも強く、災害対策と復旧にあたる住民サービスの拠点としての機能が求められています。羽曳野撓曲(とうきょく)という活断層の上にあるすばるホールに、道路交通や都市計画、下水道などライフラインの復旧に当たる部署を本庁から離れて配置するなど考えられません。

国土交通省「官庁施設の総合耐震計画基準」によると、災害応急対策活動に必要な建築物及び多数の者が利用する建築物として防災拠点とする庁舎は、大地震後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られているものとし、Is値(構造耐震指標)は0.75とされています。しかし、阪神淡路の大震災以前に建てられ築30年をこえるすばるホールは、この基準を満たしておらず、また、地下に駐車場空間があるため、庁舎機能を詰め込もうとして新たな設備や改修工事を行えば、構造に大きな負担がかかり、大地震の際、コンクリートの圧縮によるせん断や損壊の発生が懸念されます。

庁舎耐震化庁内検討会議の報告書では、現在地での庁舎建て替えについては、「南海トラフ巨大地震では本市の想定震度は震度6弱でありますが、この値は建築基準法が網羅している想定の範囲ですので、本市近隣の活断層の活動を考慮した構造的な割増設計は、想定しておりません」との見解です。すばるホールに庁舎機能を移転するなら、構造的な割増設計が必要になるという重要な指摘です。

すばるホールが、災害応急対策活動に必要な建築物としてもとめられている、Is値0.75を確保するための耐震改修費用はどれだけ必要なのか、市役所機能を果たせるための改修費用はどれくらいかかるのか、明らかにしてください。

また、富田林市庁舎整備基本計画では、すばるホールは「推定活断層が比較的近くに位置する」とされ、庁舎耐震化庁内検討会議報告書では、「災害時の防災拠点と考えた場合、消防本部と離れていること」や「何よりも現在のすばるホールを廃止した場合の代替え機能の確保等に支障が生じること」と不適格とされました。活断層の上にあるすばるホールへの分庁舎化は、市役所の耐震化とは逆行するものであり、市の災害対策を困難にさせるものであると考えますが、見解をお聞かせください。

また、本庁舎から電車で一駅も離れ、駅からも遠いすばるホールへの分庁舎化は「コンパクト化」とはほど遠く、市民にとっても職員にとっても不便な市役所になり、すばるホールで活発な文化活動をされていた皆さんが活動の場を奪われ、魅力のない富田林から流失し、人口減少や税収減に拍車がかかるといった経済的損失も懸念されます。

今年4月26日の全員協議会では、庁舎規模を縮小しすばるホールへの庁舎機能を本移転する計画変更と同時に、若松地区の統合施設を2つに分けて新築する事を決めたと報告されました。今後税収が減ると言いながら、若松地区の再整備に巨額の税金を投入する計画変更を突如庁議で決定したというのです。37億円を超える豪華マンション並の費用をかけて特定の地域以外の市民が入居できない市営住宅を建て替え、市民全体にとって重要な庁舎建て替え計画を縮小するというのでは、市長は誰のために行政をおこなっているのかと疑わざるを得ません。

人口減少と税収減に対する市長のビジョンがないことも大きな問題です。

明石市では人口の減少と財源不足が深刻でしたが、市民の要望に応えるため職員の知恵も集めて、大胆な子育て支援施策を展開し、近隣からの転入者が増え、4年連続で人口が増え6000人の人口増となり、子育て世代の大量転入で納税者数や住宅需要の増加で5年前と比べ30億円の市税収入増となっています。

市民サービスを忘れた目先の政策の圧縮や文化の切り捨てではなく、積極的な文化振興や魅力あるまちづくりで、人口増と財源確保に力を注ぐべきと考えますが、見解をお聞かせください。

市民無視、議会軽視で市役所の分庁舎化を一方的に進め市庁舎をバラバラにしてしまうのは、耐震化と防災拠点づくり、「コンパクト化」に反し、かえって費用がかかり市民負担を増やすもので、直ちに撤回をもとめますが、市長の見解をお示しください。

 

【答弁】

昨年11月に策定しました「市庁舎整備基本計画」においては、「第4章 庁舎の整備の場所」として、すばるホールを含めました複数の場所での建て替えを検討しましたが、総合評価として一番点数の高かった現在地を整備場所として選定いたしました。設計業務を進めるに際し、整備基本計画の基本方針5「将来の変化に柔軟に対応できる~経済的で合理的な庁舎~」に基づき、さらに基本計画にて検討事項としていた内容を改めて検証いたしました。本市としましては、新型コロナウイルス感染症による影響が深刻化し、またその収束も見通せない下で、全国各地の自治体においても新庁舎建設の財源確保や、コストダウンの議論が生じてきている状況を踏まえ、よりコンパクト化をめざす観点から検討を行い、先の整備場所として候補地として挙がっておりましたすばるホールに、庁舎機能の一部を配置し、新庁舎の建設規模の最適化を図ることが必要であると判断したものでございます。従いまして、この方針は、基本計画策定委員会によって策定されました市庁舎整備基本計画に基づいて、設計業務に先立って本市の方針を示したものでありますことから、基本方針の変更というものではなく、市庁舎整備基本計画策定委員会設置要綱の規定のとおり計画策定を以て委員会は廃止されたものでございます。

また、詳細方針につきましては、本年4月に本市より設計業務受託業者に指示したものでございます。コンストラクションマネジメント業務においては、本方針に基づき、中立性を保ちながら、設計内容の品質、スケジュール管理、コスト管理の他、設計での懸案事項など、各種マネジメントを行っており、必要な業務を着実に履行されているところでございます。

すばるホールは、各種団体、個人にいたるまで、発表の場や活動の拠点として利用されている施設であることは十分認識しております。

また、市民文化の振興は、本市のまちづくりにおいても重要であると認識しております、本市といたしましては、すばるホールへの庁舎移転に関して、サテライト設計室をはじめとしたワークショップや、文化団体協議会、文化振興事業団との協議などで頂いた、ご意見を踏まえまして、できる限り文化活動に支障が出ないよう、小ホール、展示室、ふれあい広場、清光の間、会議室1、音楽練習室について、これまでどおりご利用いただけるように考えております。

行政機能については、4階(一部3階アルデバラン)に集約し、市民の文化活動や発表の場に、できる限り支障が出ないよう、努めてまいりたいと考えております。

ご質問の「官庁施設の総合耐震計画基準」は、公共施設の耐震性能を機能分類し基準を定めたものでございます。本市といたしましては、この基準に基づきすばるホールを災害時に活用が求められる機能を有する施設として位置付けておりますが、建築基準法上、すばるホールは新耐震基準で建築されていることから、耐震補強の必要はないものと考えております。

また、ご質問にあります活断層につきましては、国土地理院の活断層図ホームページに、すばるホール位置近くに「推定活断層(位置やや不明確)」と記されており、基本計画においても課題ではないとA評価をしており、問題はないものと考えております。

一般的に、文化芸術について関わることは、市民が心豊かな生活を実現していくうえで不可欠なものでございます。本市としましても、文化を振興する重要性は、認識しているところでございます。

たとえば、地域のコーラスグループ等に加入して日々活動することにより、新たな仲間との交流が生まれることで生きる意欲を見出す事例や、絵画サークルの中で日々の創作活動を続けることによって魅力ある生きがいを持つこととができた事例など、何物にも代えがたい心のよりどころとなるものでございます。文化振興は市民に活力を与える重要な施策であり、その施策の推進が、魅力あるまちづくりにつながるものと考えています。

今回の分庁舎案につきましては、将来的な財政負担を少しでも軽減し、厳しい状況の中にあっても健全な財政運営が持続できるよう、建設します新庁舎の規模をコンパクト化するための方針でございます。

今後も持続可能な行財政運営に努めながら、本市が定住の場として選ばれるような魅力あるまちづくりを実現するための施策に取り組んでまいります。

 

▽2問目

再質問をおこないます。市の答弁では、「基本計画策定委員会によって策定された市庁舎整備計画に基づいて、設計業務に先立って本市の方針を示した」と述べられました。

市庁舎の建て替えについては、まず基本計画を決め、次に具体的な実施設計に進むのが手順です。基本計画とは真逆の実施設計など、やってはならないことです。いま、市長が進めようとしている庁舎分散化案は、基本計画策定委員会の出した、庁舎整備計画とは全く異なるものであり、どこの場でも承認されたことがないものであり、常識では考えられない進め方です。

一つだけ市長に伺います。市長は、富田林市庁舎整備基本計画を読まれたことがあるのでしょうか。特に庁舎の一部移転をしないと定めた第4章、一部建て替えでなく全面建て替えと定めた第5章を読んで理解できたのか、お聞かせください。

【答弁】

※市長が答えましたが、まったく内容が噛み合っておらず、庁舎整備基本計画を全部読んでいないと思わざるをえませんでした。

▽要望

策定された庁舎整備基本計画は、全部で72ページにも及ぶ全体の中で、P42~P65までの23ページを使って、①庁舎の建て替え場所をどこにするのか、②1か所で全面建て替えするのか、について検証し、明確な基本計画を立てています。さらに、その結論は、間違いようがないように、わざわざ太文字で色囲みをつけて、それぞれ表示されています。

市庁舎建て替えの候補地は、「現在地として設定します」、「庁舎整備方法は、北館・南館を含めた全面建て替えとします」と明記し、さらに、一部移転で庁舎機能が分散されると、市民の利便性への対応が難しいことや、市の中心拠点としての役割が十分果たせないことが考えられるため、今回の庁舎整備では「庁舎機能の一部移転」を考慮しないことを前提とする」と明記されています。

策定した基本計画の真逆を庁議で決めたところから、市長の暴走と迷走が始まりました。すばるホールへの一部本移転についても、議決機関ではない庁議で決定したという内容を広報に勝手に掲載し、さらに内容は二転三転し、市民の方々や関係機関、職員に混乱を招いています。さらに、議事録もないためその理由や経過も全く不透明で説明がつかないものです。

おまけに文化団体協議会へは、「すばるホールは市の中央部に位置し、利便性が高い」と回答しており、基本計画での「活断層がそばにある」ことの指摘や、庁舎とした場合の利便性について最低のCランクとされていることも隠して説明をしています。市民の目を欺くにもほどがあります。

基本計画を変更し、市役所が防災対策の拠点ではなくなり、コンパクト化どころかバラバラに分散し、業務機能を果たすには耐震化にどれだけ費用がかかるかも試算せず、スケジュールが遅れるばかりの現状は異常です。コンストラクションマネジメントコンサルタント企業も全く役割を果たしていません。庁舎整備基本計画に立ち返り、市民と議会と専門家の意見を聞き、市長は暴走と迷走から抜け出し、耐震防災拠点となる市民のための庁舎建て替えを進めるよう要望します。ひきつづき、議案審議や請願討論で庁舎分散化の撤回を求めてまいります。

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