2021年9月議会◆代表質問②市民のいのちの水を守る課題について(水道料金値上げ反対、減免制度の拡充を、水道民営化・広域化反対を)

代表質問の原稿と答弁です。少し当日言い回しなど変わってしまったところがありますが、そのまま原稿をアップします。正式な議事録ではありませんので、何卒ご了承ください。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

つぎに、市民のいのちの水を守る、という課題について質問します。

まず、コロナ禍で苦しんでいる多くの市民の皆さんに追い討ちをかける水道料金の値上げ撤回を求めて質問します。

「いのちの水」は生命の根幹に関わる、全ての人権の基礎になるものです。

私は、この間、コロナ禍で職や住居を失った方、食事に困っている方など様々な生活状況を目にする中で、ライフライン、セーフティネットの大切さを改めて感じています。富田林市でも、消費税増税や国保料・介護保険料の値上げなどにより、暮らし向きが年々悪くなっている方が増えていますが、今、さらに深刻な状況が起きています。

そんな中、先の3月議会で、市長は、今年10月から水道料金を15%も値上げし、4年後さらに10%、合計25%もの水道料金値上げ議案を出し、日本共産党だけが反対をしましたが、残念ながら可決されてしまいました。

コロナ禍で他市でも値上げを踏みとどまったり一般会計を投入し値下げしている自治体がある中、これ程むごい仕打ちをよく市民の皆さんにできるものだと驚いています。

まず、私がこの間お聞きした様々な声をご紹介します。「コロナ禍で気持ちが落ち込んでいる上、水道まで値上げはひどい」「去年、水道の基本料金を4ヶ月半額にして大宣伝していたのに矛盾を感じる」「手洗いやうがい、外出自粛で在宅が増え、いつも以上に水道料金が上がって苦しい」「子育てで洗濯物も多く水道まで値上げは困る」など、市の冷たい姿勢に、不信感を募らせている方が多くいらっしゃいます。

市長は、市民のいのちと暮らしをまもるべき自治体として、ライフラインである「いのちの水」について、どのようにお考えなのでしょうか。

そして、ご紹介した市民の方々の声を聞いて、どのように感じられましたか。

水道料金の値上げが全市民に影響を及ぼし、とりわけ低所得者や生活困窮世帯を直撃するということについて、どのように考えておられるのでしょうか。

また、水を多く使う飲食店などの営業が困難となっている今、水道料金を値上げすることは、市民の暮らしと営業が全く見えていないと言わざるをえませんが、いかがですか。

先の3月議会で、水道料金の値上げの理由とされたのは、水需要の減少による料金収入の減少で収入増が見込めない中、老朽施設の維持・更新・耐震化の費用が増大するためとされました。水道事業の運営には大規模な投資を必要としますが、管路等老朽設備の更新・耐震化には国庫補助はほとんど入っていません。

本来、日本の水道行政は、井戸水や川の水などで生活していた国民の間で赤痢などの疫病が流行るなか、公衆衛生のため国策としてスタートしました。1957年(S.32)には水道法が制定され、全国民に安心安全で安定的かつ廉価な水の供給をめざしました。

憲法第25条・生存権の保障には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、さらに「国は、すべての生活部分について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とされています。

この憲法の精神を具現化するため、莫大な費用のかかる水道の基幹設備投資(水源開発、浄水場建設、管網整備)に対して、国は補助金や金利の有利な公的な借り入れ先を用意して水道の普及に努めてきました。

しかし、それらの施設がいっせいに更新時期を迎えている今、国は、その費用を「住民負担」つまり、利用料でまかなえ、という方向に変質していきました。

今こそ、自治体に独立採算制を押し付けている地方公営企業法の改正をし、国が責任をもって、下水道施設のように国民生活の基盤にかかわる水道事業についても財源確保をするように国に求めるべきであると考えますが、市の見解を伺います。

国から市へ水道管敷設替え工事などのための「改良工事費」が交付されていないという大きな問題を先の3月議会でも指摘しましたが、改めてこれまでの国から市の水道事業に対する補助金等の交付状況、交付基準、市の要望状況をお示しください。

水道法第一条には、「この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することによって、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする」とあります。

清浄な水、つまり安全な水を確保し、豊富な水、つまり安定的な供給を、低廉な水、つまり安くて誰もが手に入る水を供給することを、国、地方自治体の責務としています。

しかし、現在は、管路の更新を含む水道施設整備にかかる公費は、総務省の通知で厳しい繰り出し基準が示されているため、たったの2%しか公費が投入されていません。

国に対して現行の繰り出し基準の見直しを求めるべきですが見解をお聞かせください。

また、通知でしかない繰り出し基準に縛られる必要はありません。地方公営企業法第17条の3では、特別の理由により必要がある場合には、一般会計または他の特別会計から補助することができるとしています。この規定を使って、一般会計からの繰り入れを行い、料金の値上げをしないで据え置くべきです。現に、他市でも減免制度を設けたり一般会計からの投入で水道料金を抑えている自治体があります。

内閣府、総務省、厚労省は、コロナ関連の公費を一般会計から公営企業会計へ繰り入れすることは可能としており、新型コロナウイルス対策として、全国177もの水道事業体が利用者への負担軽減を行いました。

その目的は2つあり、経済的損失に伴う生活困窮者への援助と、水道法第一条の目的である感染症予防という公衆衛生の向上のためのうがい、手洗いの励行です。

水道料金の負担軽減は、基本的人権・生存権(憲法25条)の保障に関わることであり、また、現在水道普及率98%となっている日本の中で、水道料金の負担軽減には一定の公平性があると言えるからです。

私たち日本共産党は昨年、コロナ支援策に関する緊急要望書を提出し、水道料金を無料化するよう求めていましたが、市は4ヶ月間基本料金のみ半額減免を実施しました。それでも支援策を講じたという意味で一定の評価はしていましたが、まさかその数ヶ月後に、水道料金を大幅値上げするなど、思いもよりませんでした。

老朽化する水道施設の敷設替えのための積み立てを市としても当然すべきことだと考えますが、積み立てをしてこなかったのでしょうか。

このコロナ禍で水道料金まで値上げしなくてはならないほど財源が逼迫したというのであれば、なぜ、この間のコロナ対策事業で、一部の団体や大手企業に多額の委託料を払うような事業をしたのでしょうか。水道料金を低く抑える方が、よっぽど公平で直接的な市民サービスにつながる、といった声があがっていますが、いかがですか。

また、今回の値上げでは、大口利用の事業者等の値上げについては負担率を緩和するとされ、小口の生活利用者に重い負担がのしかかります。

また、この度の水道料金値上げの条例案が出された際、予算書には値上げで見込まれる収益の計上がなく、値上げをしなくても事実上予算が成り立っていました。3月議会での私の質疑への答弁でも、コロナ禍で何があるかわからないため、との認識を示されましたが、現在第5波で緊急事態延長が繰り返される中、今こそ、コロナ支援策としても、水道料金の値上げを見送る決断すべき時と考えますが、見解をお聞かせください。

 

つぎに、水道料金の減免制度の拡充を求めて伺います。

今、コロナ危機によって不安定な生活を強いられている非正規労働者の方の失業や、中小企業・小規模事業者の売り上げの減少、医療機関の減収による医療従事者の一時金カットなど、市民の暮らしは相当な打撃を受けています。水道料金の値上げが強行されればさらに生活は苦しくなります。市民の暮らしや営業に寄り添い負担を軽減するために、あらゆる手段を講じるべきだと考えます。

現在本市では重度の心身障がい者のおられる一般家庭に対し、基本料金の2分の1を減額するという減免制度しかありません。

福祉減免制度を拡充し、低所得者・生活困窮世帯、ひとり親家庭の負担を軽減や、個人・小規模事業者に対する負担軽減措置、医療・介護・保育園などの社会福祉事業者を対象とした減免制度の創設、障がい者の方への減免拡充を求めますが、見解を伺います。

つぎに、水道民営化や維新府政の進める水道行政の広域一元化、富田林市の水道事業廃止に断固反対することを求めて伺います。

今、政府、大阪府は、水道の民営化・広域化推進のためあらゆる手段を講じています。

2013年にワシントンで行われたCSISという大企業系シンクタンクの集まりで、麻生太郎氏が「日本の水道はすべて民営化する」と発言しました。以降、政府はフランスのヴェオリア社などの外資系水道大企業をはじめとする民間水道事業者に公営水道を売り渡すため水道民営化、委託化の道を突き進めてました。

ヨーロッパ各地では公営水道を民営化して30年余りの間に水道料金が200%から500%も値上がりし、命の水が利益のために利用されてきただけでなく水質悪化なども引き起こしました。そのため、水道企業との契約満了を機に、フランスのパリやスペインのバルエロナなどで水道が再び公営化され、2000年から2017年の間に世界276以上の自治体が、水道の再公営化を勝ち取っています。

そうした中、ヨーロッパで需要を失った水道大企業は、今、徴収システムも整い収益性の高い日本の水道行政を次の市場として狙っています。

2018年には、1957年(S32年)に制定された水道法の崇高な理念を踏みにじる危険な内容をはらんだ改正水道法が可決されました。

改定水道法の概要は、①水道の基盤強化と関係者の責務の明確化、②広域連携の推進、③適切な資産管理の推進、④官民連携の推進、⑤指定給水装置工事事業者の指定の更新制導入  ですが、この改定の最大の問題は、「第24条の4〜13 官民連携の推進」の部分で、水道施設運営権の設定に関して、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式を導入できるとした「コンセッション方式」による民営化を可能としたことです。

このコンセッション方式は、コロナウィルス感染症のような不測の事態や大規模災害などのリスクを企業が背負うことはなく、「公」の側に残す仕組みで、民間企業だけが儲かる企業に有利な仕組となっています。

一方、「水道広域化」は住民の知らないところで計画が進行し、住民の声が届かないところで決定され、広域化後も水道事業に住民の声は届かなくなります。

水道民営化やコンセッションが住民による反対運動でなかなか進まないのに対し、このように水面下で住民の知らないうちに進める水道広域化に、国も大阪府も、舵を切っています。結局、水道民営化も国主導による水道広域化も、目指す方向は企業への利益誘導であり、市民のいのちの水を儲けの対象とすることに変わりはありません。

国の進める民営化方針、広域化方針の下で、新水道ビジョン、改定水道法が敷かれ、官民連携を推進する動きが加速する中、全国で水道民営化や広域化をめぐる様々な動きがありますので、主な状況をあげておきます。

浜松市では、市長が採用しようとした水道コンセッションに対し反対運動が広がり、現在計画がストップしています。宮城県では、住民の反対運動をよそに県議会でコンセッション導入が可決されましたが、今も反対の声が広がっています。

香川県では全国初の全県広域化が行われ、県内の各自治体から水道事業は消え、市議会の関与はなくなり、住民が水道事業に関わることができなくなりました。

奈良市では、市議会でコンセッション方式による民営化を否決しましたが、奈良県は広域化を推進。県水道への依存度も低い奈良市の基幹浄水場も廃止または譲渡を予定されており、奈良県に統合・広域化を行い料金も値上げされることになり、一体何のメリットがあるのか?との住民の疑問に十分な説明もないまま計画が進められています。

では、大阪ではどうでしょうか。現在大阪府が進めている府下の水道事業広域一元化の危険性を説明するには、まず、以前からの経過を詳しく見ていく必要があります。

さかのぼると大阪府では2008年(H20)、維新の会の橋下氏が知事になり、大阪府と大阪市の水道事業を統合し、民営化でコスト削減するという水道都構想を描きました。

2009年(H21)9月には、当時大阪市長だった平松氏との間で府の水道事業を大阪市が指定管理者となって運営することで一旦合意したものの、市民、議会、水道局、府下の市町村の反発で破談となりました。

大阪市の水道事業は、通水開始から125年の歴史を持ち、非常に高い技術力で、浄水から家庭への給水まで一体で行ってきました。それに対して浄水と各自治体への卸売りを主な業務として、家庭への給水は市町村が行っている府営水道では、成り立ちや事業形態が全く異なり、コストダウンにならないどころか、事業整理のために多額の費用がかかることなどが明らかになったためです。

そして橋下氏は、大阪市水道事業を単独で民営化する、という方針に転換します。

その後2011年2月に(H23)、府の水道事業は大阪市を除く府内42市町村で発足させた「大阪広域水道企業団」にひき継がれます。

その同じ年、橋下氏は市長選に鞍替え当選しますが、その際には府域一水道を目指す「都構想」を打ち出しています。

2012年3月に策定された「大阪府水道整備基本構想(おおさか水道ビジョン)」では、“大阪市を含む府域一水道を目指す“との目標が掲げられ、2013年には橋下氏が大阪市議会に水道事業統合案を出しましたが、大阪市などでは水道料金の大幅値上げが懸念され、市議会で否決されました。

しかしその後も維新府政は水道事業統合への意欲を見せつづけます。

2017年度からは着々と大阪広域水道企業団と経営統合する自治体を増やし、まず、四條畷市、太子町、千早赤阪村の水道事業が経営統合をおこないました。

2018年には、さらに統合を加速させるため、市町村に向けたインセンティブ補助金として水道統合促進基金(15億円)を設置しました。

2019年には泉南市、阪南市、豊能町、忠岡町、田尻町、岬町が統合しました。

さらに2021年度には藤井寺市、大阪狭山市、熊取町、河南町が統合。2024年には能勢町が統合予定とされており、現在42団体中14団体が統合議決済みとなっています。

2020年3月には府域一水道に向けた水道のあり方協議会によって「府域一水道に向けた水道のあり方に関する検討報告書」がまとめられ、今後、「水道事業基盤強化計画策定」に移行する、としています。

2023年3月議会での水道事業統廃合に向けて、来年(2022年)1月にも、富田林市、河内長野市、東大阪市、八尾市、岸和田市、和泉市、羽曳野市、高石市、柏原市の10団体が大阪広域水道「企業団との統合に向けた検討・協議に関する覚え書き」を締結する予定との報道がありますが、本当でしょうか? 非常に危険な動きだと考えますが、市の見解やこの間の大阪府との議論についてお聞かせください。

また、本市にとっても大切な自己水源である滝畑ダム、日野浄水場を共同運営している本市と河内長野市とはこの間、どのような協議がされてきたのですか。

この間、市民不在、議会軽視の市政が進められていますが、水道に関しても水面下で市民に説明されないばかりでなく、議会への報告も極めて不十分なまま、首長の権限でどんどん進められることがあってはなりません。

「大阪広域水道企業団との経営統合」とは、富田林市水道事業の実質「廃止」です。

富田林市の水道事業は、1934年(S.9)3月に創設され、1951年から1957年にわたり3度の拡張事業がおこなわれ、1960年(S.35)には水源地浄水場として甲田浄水場が完成しました。その後も第4次、第5次拡張事業がおこなわれ、1973年(S.48)に開始された第6次拡張事業で、滝畑ダム、日野浄水場が完成しました。

残念ながらその後、富田林市の美味しい水道水を支えてきた深井戸を水源とする甲田浄水場での水道水作りを2018年でストップし、現在、甲田浄水場は配水池機能のみで運転をしています。

365日いつでも蛇口をひねれば出る安心安全な水は、市の水道事業とそこで働く職員の技術によって支えられてきたものです。

市の水道事業が企業団と経営統合されてしまえば、市の水道技術力の低下はもちろん、今後企業団議会に議決権が移行するため、水道料金の値上げや企業団の事業内容、予算、決算審議は全て企業団議会で決定され、市民の声は届かなくなります。

また、企業団議会は42市町村で発足させたにも関わらず、定数わずか33議席しかありません。日本共産党は、全ての市町村から最低1議席を確保し、民主的な運営をと求めており、市町村議会からも要望があがっていますが、それすら実現していません。

さらに、山間地などへのきめ細かな水道への要望に対応できるのかなども疑問です。

実際、2017年に早々と企業団と経営統合した千早赤阪村は、山間地であるため水道を商売として考えた場合には不採算地域と言えますが、今後27%も企業団水の水道料金が値上げされるとのことです。

市として、こうした企業団の現状をどう認識していますか。また、市として、企業団議会の各自治体への議席確保を求めるべきだと思いますが、定数やその他の運営のあり方についての要望状況もお聞かせください。

自己水源の維持・確保も非常に重要な問題です。危機管理は当然、最悪の事態を想定して、2重3重の備えをするべきものです。

本来滝畑ダムの渇水時等の補償として企業団水を買い始めたはずが、企業団水への依存度を高めてついには自己水源を廃止してしまうようなことになれば本末転倒です。

企業団水を受水開始してから現在までの本市の水源比率の推移を教えてください。

2019年度に企業団と統合した忠岡町には、最近突如として、災害時用の水道貯水タンク、配水池を廃止する方針が出されました。このような状況を見てその他の統合自治体も、独自水源を守れる保証がないことに戦々恐々としています。忠岡町の件についてはご存知ですか。またどのように感じられますか。

災害時などにも重要となる独自水源と市の水道事業の重要性について伺います。

企業団水は、琵琶湖からきている淀川水系の水であるため、若狭原発で万一事故等が発生した場合、ただちに影響を受けます。

ダムや河川の水は表流水と呼ばれ、周りの環境に影響を受けやすい特徴があります。それに対して、ゆっくりと濾過され帯水層にたまり外的影響を受けにくい性質の地下水が今、改めて注目されています。専門家からは、表流水と地下水という2種類の水源を持つことの危機管理上の優位性が指摘されています。

富田林市は金剛山系の豊かな水に恵まれ、地下水も豊富です。日本共産党富田林市会議員団ではかねてより、本市の自己水源を守ることの重要性を訴えてきました。

2018年までは本市でも、深井戸から水を汲み上げ、甲田浄水場で水作りをしていました。150mから200mも地下にある帯水層から汲み上げるため、一年中温度変化が少なく、富田林市の水は以前の地下水の方が美味しかった、との声も多数お聞きします。

私は先だって、甲田浄水場へ見学に伺いましたが、2018年から水作りを停止したまま浄水設備が残されています。地下水源の価値を見直し、災害対策のためにも甲田浄水場での水道水作りを再開するべきではないでしょうか。いかがですか。

南海トラフ地震がいつ起こるか分からない状況の中、藤井寺あたりの活断層で水道管が破裂などすれば、南大阪一体に影響すると専門家は警鐘を鳴らしています。滝畑ダム水という自己水源を市民のいのちの水を担保する危機管理上の備えとして確保しておくことは非常に重要ですが、見解をお聞かせください。

自治体の防災計画では水道の参加が不可欠であり、市の水道事業が消防水利という大きな役割を担っています。まちの隅々まで張り巡らされた「加圧水」は住民のいのち・財産を守るための重要な水です。もし、市の水道事業が廃止されてしまったとしたら、災害時の対応が十分にできなくなることは明らかです。阪神淡路大震災の時に、企業団の水が断水し、火事が広がったことを忘れてはなりません。

全国自治労連や水道労働組合では、「水はいのちです」という冊子を編纂され、全国の広域化・委託化による失敗事例や、岩手県などで近隣自治体同士の水道事業が連携しての効率化や人材育成・技術力確保の成功例などを分析し、国や都道府県主導の「官民連携の推進」ではなく、自治体同士が協力し合う「公公連携の推進」を提唱しています。本市でも進めるべきは官民連携や府との統合ではなく近隣自治体との連携だと思いますが、これについて見解をお聞かせください。

大阪府の進める水道広域化は、先に述べたような様々な点で問題があります。

人材補強にならずスケールメリットに繋がらない、自治体の水道事業の廃止、地域の技術力後退、水道に関し議決権が市議会でなく水道企業団になる、水道企業団議会には各自治体1議席すらない、市民の声が届かず情報も入りづらい、コスト優先で委託化が進められている、水道民営化(運営権民間譲渡)なども懸念される、市民の水の安全が脅される、災害時などの自己水源の維持ができなくなる可能性、独自減免制度などが奪われ地方自治の権限を奪われる等、こうした問題から、府主導による水道事業一元化、統廃合に反対の声をあげ、市の水道事業を守るべきと考えますが、見解をお聞かせください。

【答弁】

本市では、これまで経営の効率化や健全化に努め、府内でも安価な水道料金を維持してきました。

しかしながら、本市の水道施設の現状は、昭和40年代の高度経済成長期に一斉に整備された水道管や配水池等の老朽化が進行しており、その施設の更新や耐震化を行っていくためには、多額の費用が必要となります。

老朽化した施設の更新事業が遅れると、腐食等による水道管の破損や施設の故障等による断水や漏水などの事故が発生し、市民の皆さまにご迷惑、ご不便をお掛けすることになる恐れがあります。

本市としましては、低所得者や生活困窮世帯の方々を含め、市民や事業者の皆さまには、ご負担をお掛けすることになりますが、今後も、安全・安心な水道を安定的に供給し続けるため、やむを得ず、水道料金を改定させていただいたものでございます。

現在の水道事業の整備等にかかる厚生労働省の交付金事業の採択基準は、「水道料金が全国平均を上回ること」、「給水収益に占める企業債残高が300%よりも高い」などが条件として定められており、現在、本市が行っている水道施設等の更新事業につきましては、国の採択基準を満たしていないため、交付金は受けておりません。

しかしながら、新設整備事業については、補助対象となり、平成24年度からの10年間の補助金の実績としましては、平成24年度に補助率が1/3、補助額が11,000,000円で管路整備を、令和2年度には、補助率が1/4、補助額が8,750,000円で非常用発電機整備を実施しております。

本市としましては、「交付金の採択基準の見直し」及び「補助率の引き上げ」など、財政的な支援について拡充するよう、大阪府を通じて、国に対して強く働きかけているところでございます。

水道事業では、公営企業法に基づき、損益勘定留保資金や建設改良積立金など、将来の更新需要にそなえた財源確保を行うとともに様々な経営改善を行い、25年間、水道料金を据え置いてきましたが、高度経済成長期に整備された多くの施設が更新時期を迎えていることや人口減少による給水収益の減少により、資金が枯渇しつつあります

そのような状況の中、地方創生臨時交付金を活用し、一般会計からの繰り出し金により、基本料金の半額を減免する支援策を実施させていただきました。

本市としましては、水道料金の減免も含め、感染症拡大を防止するための物品支援や小中学校のICT環境整備による児童や生徒への学業支援など、影響を受けた市民の皆さまへの支援策を実施してきたところでございます。

いずれにいたしましても、計画的に水道施設の更新事業を実施し、安全・安心な水道を安定的に供給し続けるため、水道料金を改定させていただいたものでございます。

現在の本市の減免制度につきましては、身体障害者手帳1級、2級または療育手帳Aを持っておられる世帯を対象としており、令和2年度では、上下水道料金としまして、約1,350万円の減免措置を行っております。

本市としましては、人口減少等による給水収益が減少する中、今後も、「富田林市水道事業ビジョン」「富田林市水道事業経営戦略」に基づき、更新事業等をすすめるとともに事業の効率化など、財源確保に努めていかなければならない状況であり、減免制度の拡充につきましては厳しいものと考えております。

しかしながら、新型コロナウィルス感染症への支援策等の観点も踏まえ、引き続き、近隣市の動向も注視しながら、調査研究してまいります。

大阪広域水道企業団は、大阪府営水道を引き継ぐ団体として、平成22年に大阪府内の42市町村が共同で設立した一部事務組合でございます。

また、大阪府では、平成24年3月に大阪府水道整備基本構想を策定し、短期的には業務の共同化を進めながら、中長期的には経営の一体化、事業統合を行い、概ね20年後を目標に府域一水道をめざすこととしております。

これまでの統合状況としては、令和3年、現在、5市8町1村の14団体が企業団に統合しております。

現在、本市を含め、10市が検討に参加している状況で、今回の統合にかかる検討の経過につきましては、中間報告として、水道施設の最適配置案等と施設の統廃合による効果額について、本年6月に企業団から公表されております。

本市の最適配置案としましては、喜志配水池と須賀受水場を廃止する、二つの案が示され、その効果額は、40年間で、約1億円が見込まれております。

現在、企業団では、最適配置案に基づき、40年間の運営費用についての経営シミュレーションの検討を行っており、その結果につきましては、10月に公表予定と聞き及んでおります。

企業団が示している、今後のスケジュールについてでございますが、令和4年1月に「企業団との統合に向けた検討、協議に関する覚書」いわゆる「覚書」を締結、その後、企業団において、統合素案を策定し、令和5年1月に統合案を策定、3月に統合する自治体の議会において、企業団規約の変更案について、審議していただくものでございます。

本市としましては、今後、企業団から示される経営シミュレーションの結果を踏まえ、覚書の締結について、判断するものでございます。

本市と河内長野市で運営している日野浄水場につきましては、運転を開始してから、約38年が経過し、今後、大規模改修等が必要となる時期を迎えようとしております。

本年度からは、本市と河内長野市において、今後の水運用を見据え、二市にとって有効に利用できる水道施設となるよう、日野浄水場のあり方についての検討を始め、現時点では、現状についての調査等を行っているところでございます。

企業団議会の議員定数に関する協議は、全構成団体である42市町村の議会に関係するもので、企業団議会議員の未選出団体議会議員も含め、「大阪広域水道企業団議会議員定数等調査委員会」において検討されているところでございます。

本市としましては、これまでの企業団における市町村長の会議において、一団体一議席の考えを示しておりますことから、市民の声が企業団議会へ届くよう、引き続き、要望してまいりたいと考えております。

本市では、昭和43年6月から企業団水、当時は大阪府営水として受水を開始しており、昭和45年から10年ごとの企業団水、ダム水、地下水等の受水割合について、申し上げます。

なお、ダム水に関しましては、昭和58年から、取水を開始しております。

昭和45年は、企業団水が29%、ダム水が0%、地下水等が71%、昭和55年は、企業団水が54%、ダム水が0%、地下水等が46%、平成2年は、企業団水が35%、ダム水が36%、地下水等が29%、平成12年は、企業団水が38%、ダム水が37%、地下水等が25%、平成22年は、企業団水が40%、ダム水が44%、地下水等が16%、令和2年は、企業団水が56%、ダム水が44%、地下水等が0%と推移しており、基本的には、年々、企業団水の割合が増えていく傾向となっております。

企業団では、統合検討への意思を示した自治体においてのみ、施設の最適配置案及び経営シミュレーション等の検討を行うものとしております。

忠岡町は、平成31年4月に企業団に統合しており、当時は、忠岡町に隣接する自治体は統合検討の意思を示していなかったことから、その際の最適配置案では、忠岡町のみでの検討となり、北出配水池を存続する案になったものです。

一般的に配水池の役割としましては、災害時用の貯水機能を果たすものですが、今回、忠岡町と隣接する岸和田市が、統合検討の意思を示したことにより、最適配置案を検討したところ、岸和田市から忠岡町へ送水することで、北出配水池を廃止する案が提示されたものであると聞き及んでおります。

甲田浄水場につきましては、重要な水源の一つとして、昭和35年から運転を開始しましたが、人口減少や老朽化に伴う更新費用が多額になること、2水源での水運用が行えることから、費用対効果を踏まえ、平成30年度に浄水機能を廃止しております。

議員のご質問にもありますように、危機管理の観点からしますと自己水源である滝畑ダム水は、重要な水源の一つになるものと考えられます。

本市としましては、今後の水運用を見据え、二市にとって有効に利用できる水道施設となるよう、日野浄水場のあり方について、河内長野市との協議をすすめてまいりたいと考えております。

令和元年10月に水道法が一部改正され、「人口減少に伴う水の需要の減少」、「水道施設の老朽化」、「深刻化する人材不足」等の水道事業が直面する課題に対応するため、水道の基盤強化が求められており、また、「広域連携の推進」についても明記しております。

本市では、法に基づく取り組みの一つとして、令和元年度から、漏水調査業務委託を堺市と共同で行っており、また、令和2年度から、民間事業者との連携、いわゆるPPPによる小水力発電事業も実施しております。

本市としましては、「公公連携」による事業費や事務の効率化を図るとともに「官民連携」による経済効果を推進することにより、将来にわたって持続可能な水道事業の運営を行ってまいりたいと考えております。

現在の水道事業を取り巻く環境は、給水人口の減少による水需要、収益の減少に加え、施設の耐震化、技術力の継承など、さまざまな課題を抱えており、今後も、安全・安心な水を安定的に供給するためには、広域化・共同化も選択肢の一つになるものと考えられます。

本市の水道事業は、日野浄水場の運営や管理など、河内長野市との繋がりもあることから、河内長野市をはじめ近隣市との調整を図るとともに、今後、企業団から示される経営シミュレーションの結果や定性的なメリットを踏まえ、水道の安定的な供給及び持続可能な運営を図るため、富田林水道事業にとって、より良い方向となるよう検討してまいりたいと考えております。

 

▽2問目

水道料金値上げについても減免制度の拡充についても、全く市民の命や暮らしをかんがみない冷たい答弁でした。積み立てをしてこなかったのか、という質問に対しては、答えすらありません。市長は「誰ひとり取り残さない」という言葉を使いながら、全く逆の市政をしているではありませんか。特に、高齢者の方や障がい者の方など弱い立場の方への支援切り捨てはすさまじいものがあります。

長寿お祝い品の廃止や、高齢者外出支援サービスの廃止、原爆被害者見舞金の廃止、障がい者給付金の廃止、妊娠された方へのプレママハッピーライフサポートプランの廃止、支援学級児童・生徒への就学支援補助金の廃止、重度障がい者の医療費補助への所得制限導入、入院時医療費補助の廃止、そして、誰もが必要とする命の水の値上げをこのコロナ禍で強行すること。市長の命に対する姿勢がうかがえます。

今回、市民の方から水道料金値上げ反対の請願署名も議会に出されております。

私たち日本共産党議員団は、市民の皆さんの命・暮らしを最優先に考える立場から、引き続き、ライフライン、セーフティネットを守るため全力で頑張ります。

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