2019年9月議会 代表質問③待機児童の解消をもとめて

 3.つぎに、待機児童の解消をもとめて伺います。

女性の就業率は年々上昇する中、保育等を利用する子どもの数も大きく増え、全国で保育を利用する子どもの数は、昨年4月の時点で261万人にのぼり、前年度から68万人増加しており、この20年余り毎年増加しています。

就学前の子どもの保育所等利用率は44.1%で、そのうち3歳児未満児は36.6%、1、2歳児では47%にのぼり、1、2歳児の半数が保育所等を利用している状況です。

本市でも、保育所等を利用する子どもが年々増え、ここ数年で年度当初の待機児童数が急激に増えています。

認可保育所の入所を希望しても入れない待機児童の問題は、長年の国政の大きな課題となっていますが、政府は認可保育所をつくってほしいという父母の声にはこたえることなく、「基準緩和」と「詰め込み」中心の施策を推進してきました。

安倍政権は「待機児童解消加速化プラン」(2013年)を打ち出し、40万人分の保育所等の整備で2017年には待機児童を解消するとしていましたが、失敗に終わりました。

つぎに、「子育て安心プラン」(2017年)と看板を付け替えて32万人分の保育所等の整備をすすめ、2020年度末までに待機児童解消するとして現在推し進めていますが、解消の気配はありません。

待機児解消どころか、定員をこえて詰め込みを行い、保育士資格の要件を緩和し、給食の外部搬入や、認可外の保育施設を待機児童の受け皿にするなど、安上がりの待機児童対策をすすめてきた結果、今日の様々な保育をめぐる問題を生み出しました。

 「待機児童の解消」とひとことで言っても、どのように解消させるのかが問題です。安倍政権が2015年に導入した「新制度」は、保育の公的責任を後退させ、企業参入を促すもので、従来の認可保育所の基準を下回る、多様な基準や条件の施設が認可保育所として認められることになりました。

 とくに問題になっているのが、小規模保育等の地域型保育事業です。面積基準が低く、家庭的保育、小規模保育B・C型、居宅訪問型は保育資格者でなくても配置が可能となっています。

 政府は、保育所の新たな整備を従来の認可保育所ではなく、小規模保育や認定こども園を中心にすえ推進し、2016年度からは大きな問題を抱えた「企業主導型保育」(無認可)を導入し推進しています。

 企業主導型保育では、東京都世田谷区で昨年10月末、給料未払いから保育士が一斉に退職して突然閉鎖され、大きく報道されました。自治体が関与せず企業に丸投げするこのやり方は、地域のニーズとも合わず、待機児童がいるにも関わらず定員充足率が低いことや、助成金だけ受け取って保育事業を取りやめたり開所に至らないといった様々な不正受給の問題や、突然の閉鎖、基準違反の施設が75%もある事が明らかにされるなど、制度の行き詰まりは明白です。

結局、国は保育の受け皿を2013年度から5年間で約53.5万人分増やしたと言っていますが、保育所の数は減っているというのが実態であり、幼稚園教諭や小学校教諭資格があれば、保育士資格を持っていなくても可能とする配置基準の緩和や、朝夕の保育士配置要件を2人から1人に減らすなど、「規制緩和」「詰め込み」路線を加速させています。

財界が求めてきた保育の市場化が「新制度」によってますます拡大されており、政府が推進する小規模保育の約4割が株式会社・有限会社が運営しています。認可保育所でも今では約2割を占めるまでになっています。

保育園での人件費比率は、社会福祉法人では7割という中、株式会社では5割と低く、保育士の給与が低い状況を作っており、問題になっています。

本市でも、民間園やこども園の誘致、家庭的保育事業による待機児童解消がすすめられていますが、政府の進める詰め込みや規制緩和による待機児童解消にならないようにすべきと考えますが、見解をお聞かせください。

本市の保育所等利用者数と、待機児童数の年度当初と年度末での状況の5年間の推移をお聞かせください。

本市でもうけている保育士の配置基準と、正規職員の定員、充足状況についてお聞かせください。

また、民間保育園、家庭的保育、新たに開設予定の認定こども園等について、どのような職員配置や職員待遇などの指導・補助等をおこなっているのか、民間園等の職員配置の現状をお聞かせください。

保育園でのこどもの死亡事故が毎年くりかえし発生しており、全国で昨年4月までの10年間に139人の子どもが保育園で亡くなっているという痛ましい報告がされています。

 とくに、保育士の配置数などの基準が低い認可外保育施設での死亡事故は、認可保育園の2倍をこえています。

こどもにとっても保育士にとっても厳しい保育環境は、子どもの命に直結します。死亡に至らない重大事故の国への報告は、保育所等で2015年399件が2017年880件と、2年で倍以上に急増しています。

本市で重大事故が発生したことはあるのか、状況についてお示しいただくとともに、事故発生防止のために、どのような指導や対策をされているかお聞かせください。

また、3歳で認可保育所に入れない事態が深刻になっています。今年10月からの幼児教育・保育無償化で、3歳以上の子どもの無償化が実施されようとしている中、これまで保育入所をあきらめていた世帯も申込をするという可能性も指摘されており、3歳以上の保育の確保も新たな課題になってきています。

当面、本市でも保育所等の利用希望者がますます増えると見込まれており、待機児童の解消が急がれていますが、安易な受け皿づくりを進めるのではなく、公的保育の充実で、安心安全の保育行政をすすめてほしいとの声が大きくなっています。

公立保育所の正規保育士の配置が23人不足している、という問題を2016年の代表質問でもとりあげ、その後も委員会などで何度も正規保育士の増員を求めてきました。

保育士現場では、「誰かが体調不良で休んだ時、先生が足りない」「子どもに対して職員の数がギリギリ」「残業が多い」「持ち帰り仕事が多い」「休憩時間がほとんどとれない」といった声も多く、その改善が喫緊の課題です。各地の調査から、時間外労働や業務量の多さ、時間の長さが職員に過度なストレスを与えている深刻な事態が浮き彫りになっています。

本市として、保育現場の持ち帰り仕事の状況、残業時間、休憩時間などの状況把握が必要と考えますが、把握されている状況についてお聞かせください。また、現場の状況調査、職員アンケートなどはされていますか。

現在の職員配置状況について、正規、非常勤、臨時採用職員、それぞれの人数をお示しください。

保育士採用の経過と現状について、この3年間、何人募集をかけて、何人採用されたか、現在の欠員状況をお聞かせください。

発達障害をもったお子さんや家庭環境の複雑さなどに対応する本市の多様な子育て支援事業にとっても、公立保育園保育士の役割は大きく、保育士が長く働くことができ、その継承をしていくことができるような環境整備こそが、自治体に求められています。

保護者の方々が安心して働きながら子育てできる環境づくりのために、そして何よりも、子どもたちののびのびとした発育を保障するうえで大切な保育士正規職員の増員を改めて強く求めますが、市長の見解をお聞かせください。

【要望】

ご答弁ありがとうございました。要望させていただきます。

本市では、国・府の配置基準を上回るかたちで保育士を配置されており、家庭的保育、民間保育園、こども園等についても、保育士資格を持っている人による保育を遵守するとのご答弁でしたので、今後基準緩和による詰め込みや保育の質を低下させることのないよう配慮した待機児童解消策を進めていただきますようよろしくお願いいたします。

正規保育士不足については、117人の配置基準をもうけていながら育休・産休取得者も含めて94人の正規職員で、23人欠員とのことで、保育現場、保護者からも欠員解消を市へ要望されていますが、以前から全く改善していない状況です。

正規保育士の過重負担を軽減させ、保育の質を高めるために、正規雇用の保育士の充足が不可欠ですので、正規保育士の増員を引き続き強く要望して次の項に移ります。

コメント投稿