2020年12月議会代表質問ー①前文、公共施設の公的役割を後退させず、市としての責任を果たすことをもとめて

2020年12月議会代表質問を、日本共産党を代表して岡田議員が行いました。(12月9日)

以下、前文と、「公共施設の公的役割を後退させず、市としての責任を果たすことをもとめて」です(正式な議事録ではありませんので、ご了承ください)。

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議席番号15番 岡田英樹です。私は日本共産党を代表して質問します。市長の積極的なご答弁を、よろしくお願いいたします。

はじめに、私たちを取り巻く内外の情勢について述べさせていただきます。

アメリカの大統領選挙はトランプ氏が敗北し、バイデン氏が新たな大統領に選ばれました。これによりアメリカは、地球温暖化防止をもとめるパリ協定に戻り、新型コロナ対策を国際的連携ですすめるWHOに復帰する道を選択しました。世界の政治が大きく変わろうとしています。

また、国連で採択された「核兵器禁止条約」は批准国が50カ国を超え、来年1月22日に、この条約が発効となります。しかし、世界でただ一つの戦争被爆国である日本の政府はいまだに条約の批准を拒否しています。世界の平和と核兵器禁止の流れに逆行する日本政府に、憲法9条をまもり二度と核戦争に巻き込まれないために、核兵器禁止条約を直ちに批准・調印することをもとめるものです。

11月1日投票で行われた大阪市の廃止を問う住民投票は、維新の「都構想」がきっぱりと大阪市民から否決されました。「二重行政の弊害」「大阪が成長している」などと、大阪経済の落ち込みを行政制度のせいにして、責任を逃れようとする姑息な言い訳はもう通用しません。住民本位の行政と、活気ある大阪を取り戻そうという願いが、住民投票の結果であったといえます。

9月に誕生した菅政権は、学術会議の推薦を拒否し、学術研究機関への言論統制を始めようとしています。菅政権に都合のよい者しか学術会議の会員になれないという、6人の学術会議任命拒否問題をあいまいにすることはできません。学術会議への人事介入・政治介入は、「学問の自由」を踏みにじる重大な違法行為です。「政府の意に沿わないものは理由もなく排除する」となれば、戦前のように、学問だけでなく、言論、表現、信仰など、国民の自由をおびやかすことになりかねません。いま、大学や学会の関係だけでなく、映画人、作家、自然保護団体、宗教団体など、1000近い個人・団体が、立場の違いを超えて、「任命拒否は撤回せよ」の抗議の声をあげています。日本共産党は、任命拒否の理由も説明できない菅首相の責任を徹底追及します。

また、しんぶん赤旗のスクープで始まった「桜を見る会」疑惑の追及は、新たな段階をむかえました。全国の弁護士などでつくる市民団体は、「桜を見る会の前夜祭参加費を安倍後援会が差額を補てんしていたら、政治資金規正法違反で公職選挙法違反にもあたる」と告発していました。当時、安倍氏は国会答弁でこの疑惑を否定し、菅首相も疑惑の再調査を拒否していました。しかし、東京地検の取り調べに対し、前首相秘書が差額を補てんしていたことを認め、ホテル側から発行された領収書がでてきました。国会で虚偽の答弁をした安倍前首相と再調査を拒否している菅現首相の責任は重大です。日本共産党は引き続き疑惑の徹底究明をすすめるものです。

コロナ感染が再び拡大し、無症状の感染者も急増する中、コロナ感染「第3波」と言われる深刻な状況になっています。これは、菅政権がコロナ対策で国民が安心できる具体的な対策をとらないまま、「旅行しましょう、外食しましょう」という「GoToキャンペ−ン」を煽ってきたことがもたらした、「菅政権による人災」ともいうべきものです。菅首相は、「静かなマスク会食」などと言っていましたが、医師会などの指摘に、やっと、「GoTo事業」の見直しを発表しましたが、国民に何の反省・検証も説明もない無責任なものです。

また、大阪では、1日当たりの感染者が過去最高を更新し続けており、府民に大きな不安を広げています。大阪のPCR検査件数は人口比で東京の約8割、陽性率は東京の約1.5倍、です。これまで、吉村知事は「大阪ワクチン」や「イソジン」など、コロナ対策をやっているかのようなポーズをとってきましたが、実際は「社会的検査」の拡充に背をむけ、大阪市廃止の「住民投票」にかまけて、コロナ対策をおざなりにして、全国で地域外来検査センターが10月末には設置されるなか、大阪では丸々1ヶ月遅れ、感染者が急増しました。また大阪市の松井市長は、5月以降一回もコロナ対策会議も開いておらず、これも「維新政治による人災」というべきものです。

いま、吉村知事は、「静かに飲食」とか、「マスクの着用」とかを言うだけで、何の具体策も示せていません。また、重症患者を受け入れる病床の使用率を低く発表するために、医師も看護師も確保して稼働できる病床を分母にせず、看護婦の確保もできていないベッドを「確保病床」とよんで水増し報告しています。このことはマスコミでも大きく取り上げられ、実際に稼働できる重症患者用の病床数は、12月1日現在で143床しかありませんが、大阪府が発表している確保病床数は206としています。そこには看護師が集まるめどもないベッド数まで含まれているのです。実際に運用できる重症患者用の病床の使用率はすでに100%に近付いており、まさに医療崩壊寸前の事態です。

住民投票で「都構想」が否決されたにも関わらず、民意を無視し、総合区や広域行政の一元化の条例をつくって、夢洲の巨大開発に、大阪市から2,000億円の財源をむしりとることに執着しています。

コロナ対策を放棄して、この時期に住民投票を強行し、感染症を蔓延させた維新の責任は重大です。

いまこそ、コロナ感染の爆発を抑える緊急対策が必要です。日本共産党は、 ①PCR検査を抜本的に拡充し、面的実施を推進すること ②保健所の人員を増やし、感染者の保護と感染経路を徹底的に追求すること ③医療機関への支援を充実し、宿泊療養施設を確保すること ④「GoTo事業」を見直すことを求めてきました。

コロナの再拡大により、年末から来年にかけて中小企業の倒産や飲食店の廃業などの危機が迫っています。消費の落ち込みによる地域経済は深刻です。日本共産党は、コロナが収束するまで、中小企業や自営業者への直接支援の継続、消費税の5%への減税や納税の免除など、必要なあらゆる手立てをとるよう、国に強く求めています。

コロナ感染の拡大で、国民の命への不安、暮らしへの不安が大きくなっていても、「感染したら自己責任」という姿勢では、政治の責任ははたせません。「森友・加計」問題、桜を見る会の疑惑解明に背を向け、自分の意に沿わないものは排除するという強権的な菅首相に日本の政治は任せられません。日本共産党は、市民と野党の本気の共闘で、「政権交代」と国民の声が届く政治を実現させるために全力で頑張ります。

 

それでは質問の項目に移ります。

公共施設の公的役割を後退させず、市としての責任を果たすことをもとめて伺います。

「富田林市行財政経営改革ビジョン 第2編 取組行動計画(素案)」に対する意見を求めるパブリックコメントがおこなわれましたが、市民から寄せられた意見はたったの10通と、今回も非常に少なく、これで市民の意見を十分に聞いたとは到底言えません。私たち議員団ではパブリックコメントを「市民に意見を聞いた」という口実にするのはやめるべきだと繰り返し指摘してきました。

今回の実施に際しても、市民が意見を書くために必要な資料や説明が圧倒的に不足していることや、パブリックコメントがおこなわれていることを知っている市民が少なく、募集期間も今回も1ヶ月と非常に短いことなど、広く意見を聞く姿勢がない、形式的なものと感じざるを得ません。

なぜ市民の生活に直結する問題であるにもかかわらず、これほど素案に対するコメントが少ないのか、実施にあたっての周知方法や情報提供についての問題など、検証が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

「行財政経営改革ビジョン 第2編 取組行動計画(素案)」には、指定管理者制度の導入施設拡大や、資源ごみの収集運搬業務の委託化、元気なまちづくりモデル事業における、実施主体や目的などの見直し、ケアセンターけあぱるの譲渡の検討など、市の責任後退につながる内容が多々盛り込まれており、市民生活への影響を危惧させるものです。指定管理者制度が始まって以来、本市でも、教育文化施設、スポーツ施設、ついには重要文化財の旧杉山家住宅までもが指定管理者制度を導入されています。市民の声が届きにくい、運営側の実態が見えにくい、といった声があります。今後もこの制度を導入拡大するという前に、これまでの指定管理者制度の導入でどのような効果、メリットがあったのか、また、逆にどのような問題点、デメリットがあったのかを検証し、まず市民に判断材料の提供をするべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

出されたパブリックコメントでの、富田林斎場への指定管理者制度導入について伺います。「富田林斎場は引き続き市の直営とすべきであり、あえて指定管理者制度へ変更しなければならない積極的な理由が見当たらない」とのご意見があります。

コメントに対する市の返答は「富田林斎場は、富田林市公共施設再配置計画(前期)において、施設の効率的運用について検討していくこととしておりますことから、指定管理者制度の導入を図ることで、民間のノウハウ・資源の活用により、更に利便性を向上させ、また経費面においても効率的な運営を行ってまいります」という、すでに指定管理者制度導入が決まったかのようなものでしたが、それでは、今まで培ってきたノウハウや資源はどうなるのでしょうか。長年市のノウハウや資源を放棄するのではなく、発展させるべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。また、「更なる利便性向上」とは具体的にどういうものかも示されていませんが、一体何が今までよりも便利になるのでしょうか。 

また、今回、富田林斎場の指定管理者制度導入で6千656万6000円の目標効果額との記載ですが、これはどういう試算にもとづくものかお示しください。

ケアセンターの民間譲渡の検討については、『「介護老人保健施設」と「健康づくり・世代間 交流施設」は、公共性の高い施設であり、本来は市の直営施設とすべきだが、少なくとも現行の指定管理方式は維持すべきである。拙速に、民間譲渡を検討すべきではない』というご意見が出されています。

ケアセンターは、市民の健康増進を最大の目的に建設運営されてきました。

介護・福祉の拠点ともなっており、第3圏域の地域包括センターとして、金剛地域の生活をとりまく様々な問題に対応したり、福祉避難所にも指定されているなど、住民にとってなくてはならない施設です。ケアセンターの公的役割について、見解をお聞かせください。

今後も長期にわたって市が責任をもって運営し、維持していく必要があると考えます。これを民間譲渡するということは、事業者が安上がりで運営するために無資格者を働かせるなど、市民サービスが低下することが容易に想像でき、行政責任の後退以外の何者でもないと考えます。

私たちは、今こそ、指定管理者制度といった不安定な運営ではなく、もともとケアセンターを運営するために設立された福祉公社を運営主体として、持続的に運営できる体制にもどすことを検討するべきだと考えますが、いかがですか。

私たち日本共産党議員団は、住民福祉の増進を目的に市が設置している公共施設は直営で管理運営すべきであり、やむを得ず委託する場合でも、社会福祉協議会や市が出資して設立した、利潤を追求しない公的外部団体に限定すべきと主張してきました。

そもそも「官から民へ」の掛け声のもとに、国が制度化した「指定管理者制度」は、公の施設の管理主体を株式会社等の民間営利事業者にまで拡大し、公の施設での利潤追求を認める制度であるために、住民福祉の増進と住民に平等に、できる限り質の高いサービスを提供するという、公共性が保てなくなるというのが最大の問題点です。行政が市民サービス向上のために、民間のノウハウを学び取り入れることを否定はしませんが、公の施設の管理運営というものは、民間事業者が同様または類似するサービスをやっているとか、民間でも管理できるとかいう問題ではありません。公正、安定、平等の公共性の原則と、民間営利事業者が求め続ける「利潤追求」というものが、本質的に対立するからです。

指定管理者制度が導入されてから、現在富田林市でも、観光交流施設きらめきファクトリー、市民プール、市民会館(レインボーホール)、すばるホール、市民総合体育館と総合スポーツ公園、総合福祉会館、コミュニティセンターかがりの郷、ケアセンターけあぱる、直近では昨年度から寺内町四施設として重要文化財である旧杉山家住宅、じないまち交流館、寺内町センター、じないまち展望広場の運営も指定管理となりました。

 指定管理者は社会的貢献を果たそうと努力はしていますが、計画通りの集客が進まず、厳しい運営を強いられており、安全確保や市民サービスの質の向上が十分図られていない点があるということも、市民の方からの声で感じています。

また今年はコロナの影響もあり、各施設とも入館者・利用者の減少や事業の中止など、指定管理者も大変苦しい施設運営を強いられていますが、その負担の穴埋めが働く人たちの生活を圧迫するのも心配です。

指定管理者制度のもう一つの問題点は、非正規雇用を蔓延させ、再生産する仕組みであるということです。指定管理者による雇用形態では、パートなど不安定な雇用の方が全職員の6割から8割を占める実態が普通です。これは、指定管理者制度が指定期間を定めているためです。指定期間を終えても、次に管理者に指定される保証はありません。もし指定から外れてしまえば、そこで働いていた人は不安定雇用から失業となります。営利・非営利を問わず、どこもギリギリの人員体制の中で事業展開されているため、余裕はほとんどない実情をみると、その人たちを抱え続けることは不可能です。指定管理者が、期限付きの事業であるため期限付きの職員体制で運営されてしまうのは自然の流れです。一部の事業者を除けば、正社員・正職員だけでの運営はできません。非正規雇用の問題は、格差と貧困の大本にある問題です。政府ですら、非正規雇用の抑制と縮小を言わざるを得なくなってきました。

今一度、指定管理されている事業で働く労働者の実態を調べ、その権利を守るために対応する必要があると考えます。そのための手段の一つとして、「公契約条例」を制定することを改めて求めますが、いかがですか。

収入が減少した際には、指定管理者は利益を確保するために過度の人件費削減や社会的ルールを無視した労働条件の低下を招く恐れもあります。事業者は、安定経営のために管理経費を節減しようと思えば、職員を減らし人件費を削減するしかないといえますが、今後とも、厳しい経営状況の下で、利益を優先するため、公の施設としての安全性や市民サービスの低下をまねく、過度の人員削減に走ったり、さらに経営状況が悪くなれば撤退、倒産という可能性も否定できず、結果的に、市に新たな財政負担を負わせる可能性もあります。

指定管理者制度の導入をあしがかりに、その後、民間譲渡といったさらなる行政の責任後退へとつながる点についても、私たちは指摘をしてきました。

様々な問題を抱える指定管理者制度を見直し、さらなる拡大はしないことを求めますが、市の見解をお聞かせください。

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以下、答弁要旨です。正式な議事録ではありませんのでご了承ください。↓

1.(1)行財政経営改革ビジョンは、より多くの意見を把握するため、4月と10月、2回のパブリックコメントを実施いたしました。4月のパブリックコメントでは7通、10月のパブリックコメントにおいては10通の意見がございました。 パブリックコメントの実施に際しては、広報誌、ウェブサイトならびに公共施設において周知を行いましたが、いただいた意見の数としては、決して多いとは言えないことから、その手法については課題があると考えております。今後は市政情報をきめ細やかに発信し市民の市政への関心を高めるように努めるとともに、今年度に導入を予定している市政モニター制度「わがまちパートナー」やSNS等多様な媒体を活用した情報発信に努めてまいります。

(2)①指定管理者制度は、平成15年の地方自治法の改正により、公の施設の管理運営を広く民間企業やNPO法人等を含む事業者に委ねることが可能になり、本市では平成18年度より導入をしております。 その目的は、多様化する市民ニーズに効果的、効率的に対応するため、民間の能力を活用しつつ、市民サービスの向上を図るとともに、経費の節減を図ること、とされています。本市の導入施設におきましては、指定管理者のノウハウを活用し、効果的・効率的な施設運営を行いつつ、市民ニーズに対応した自主事業を実施されています。一方、管理運営を委ねてしまうことから、利用者からの苦情などについて市との情報共有に課題があり、平成27年度より新たに指定管理者選定委員会における指定管理業務の評価を導入し、今年度よりその委員会に指定管理者を出席させるなどの運用を図り、施設の管理運営水準の向上に努めております。

これらは、学識経験者を含めました指定管理者選定委員会においてご議論いただいており、その評価結果や運営状況などは公表しております。指定管理施設の状況については、今後も一層の情報発信に努めてまいります。

富田林斎場の指定管理者制度導入につきましては、富田林市公共施設再配置計画において、施設の効率的運用について検討していくとしていますが、それにより、市が今まで培ってきた公的サービスは維持しつつ、更に民間事業者等の培ってきたノウハウや経営手法を活用することで、利用者の様々な要望や意見に対しても、柔軟かつスピーディーなサービス提供が期待できます。

また、更なる利便性の向上につきましても、葬儀室などの新たな利用方法や予約システムの導入など、民間事業者ならではの提案も期待でき、様々なニーズに対応できるものと考えております。 次に、目標効果額の試算でございますが、令和元年度の人件費を含む歳出額、81,511,000円から歳入額54,237,000円を差し引いた額、27,274,000円を指定管理料と仮定し、令和2年度の人件費を含む歳出予算額93,840,000円から仮定した指定管理料27,274,000円を差し引いた額、66,566,000円を目標効果額としております。 いずれにいたしましても、富田林斎場の指定管理者制度導入につきましては、パブリックコメントでの貴重なご意見などもあることから、他市町村の導入成果等も参考にしながら、今後検討してまいります。

③ⅰ、ⅱ まず、ケアセンターは、平成8年設立以来、介護老人保健施設及び健康づくり世代間交流施設の2つの機能を持つ高齢者保健施設として運営してまいりました。

また、平成25年9月には、大規模災害時における、高齢者や障がいをお持ちの方など、避難生活に配慮が必要な方が避難できる福祉避難所の指定を行うなどの公的な役割や、市の委託による介護事業を行っているなど、特に介護サービスにおいては重要な拠点施設のひとつであると認識しており、今後も公的な介護サービスを提供できる施設として維持する必要があると考えているところです。

ケアセンターでは、平成31年度から5年間の第4期指定管理者選定におきまして、これまでの非公募での選定から、公募による選定に移行したところであり、選定の結果、現在は、一般財団法人富田林市福祉公社とミズノスポーツサービス株式会社による、ケアセンター管理運営共同事業体が指定管理者として運営を担っております。

なお、非公募から公募への移行理由につきましては、富田林市福祉公社を中心に、これまで運営をしている中で、利用者数の伸び悩みや、運営内容の硬直化がみられたことや、設立当初に比べ現在では民間運営による類似施設も増え、民間のノウハウも醸成されていることなどから、公募によって競争性を働かせ、施設運営の更なる飛躍を図るべきと総合的に判断したところです。

しかしながら、現行の制度では、5年ごとに指定管理者が交代する可能性があり、利用者の中には不安を感じられる方もおられることから、今後市の介護サービスにおける拠点施設のひとつとして、いかに安定した運営を行うべきかを主眼に、施設機能だけではなく、これまで運営を担ってきた福祉公社のあり方も含め検討してまいりたいと考えております。

④ 公契約条例については、公契約の適正な履行及び労働者の適正な労働環境の確保を図り、もって地域経済の健全な発展及び市民の福祉増進に寄与すること等を目的に制定しているもので、平成21年に地方公共団体として初めて条例化した千葉県野田市をはじめ、令和2年4月現在、全国で7つの県、また、50の市または区が制定している状況となっています。

しかしながら、労働者の適正な労働条件の確保については、一自治体の条例で解決できるものではないことから、国の方針として整備されるべきものであると考えているところでございます。 今後におきましても、本市にとって最も透明性、公平性、競争性、また経済性等に優れた入札制度を目指し取り組みを進めながら、公契約法の制定につきましても、引き続き国に要望してまいります。

⑤ 指定管理者制度の目的は、民間の能力を活用しつつ、市民サービスの向上を図るとともに、経費の節減を図ることであり、本市の指定管理者制度導入施設についても、効果的、効率的な運営に努めております。今後の指定管理者制度の導入につきましては、パブリックコメントでいただいた意見も参考にしながら、施設の特性や効果的な施設目的の達成などを総合的に判断し、決定して参りたいと考えております。

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【要望】

パブリックコメントの実施についてですが、今回の「富田林市行財政経営改革ビジョン 第2編取組行動計画(素案)」への市民からのコメントはたったの10通です。重要な市の政策提案については、周知方法・情報の提供の在り方について検証が必要であり、これでは市民に意見を聞いたとはとても言えない結果です。

パブコメの実施のあり方についての、再検討をお願いしておきます。

 市の施設の管理の在り方については、指定管理者制度や民間委託には大きな問題があります。公的役割を持つ市の施設が指定管理者制度を導入されるなかで、管理者は市から求められる効率的運営と自らの利益の確保を優先するようになり、本来の市民のための役割とサービスが後退し、単なる貸館業や運営請負に成り下がる懸念があります。

 また本来、市の責任である、文化振興政策や福祉施策が市によって提案実行される機能と専門機関がなくなり、市の文化振興事業団や福祉公社に蓄積されてきた、市独自の課題を追及する魅力が、画一的な民間利潤追求型に後退しようとしています。民間譲渡の検討が挙げられるケアセンターけあぱる内のプールやフィットネスは、「民間事業者のノウハウや経営手腕を導入する」として大手民間企業に運営を任せましたが、その結果利用者数は減少しています。

 公共施設における安易な公的責任の放棄は、市の行政能力の低下と市民サービスの後退を招きます。

 また、なにより指定管理者制度による期間限定の不安定雇用は、非正規雇用の拡大と職員の働く意欲の低下を招きます。

 市の直営による魅力ある政策提案と、安定雇用があってこそ公共施設はその役割を発揮します。

 ケアセンターけあぱるや富田林斎場など公共施設や事業を、民間譲渡や指定管理者制度の導入で、市の公的責任を後退させないことを求めておきます。

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