2021年3月議会◆代表質問② 障がい者福祉と高齢者介護の充実をもとめて

次に、障がい者福祉と高齢者介護の充実をもとめて伺います。施政方針では、「誰もが安心して自分らしく暮らせる共生福祉社会をめざす」とされています。

しかし、現在重い障害をもつ方や高齢者で介護を必要とする人が入所できる施設が不足し、家庭での介護に大きな負担と不安が重なっています。また、新型コロナウイルス感染が拡大する中で、障害のある人と家族の生活は一変しています。ハイリスクといわれる障がい者の方を自宅でケアする家族と、受け入れる施設の側にもコロナ感染を防ぐための、消毒作業や感染防止のマスク、消毒薬など作業や備品整備の負担が増えています。入所者も外出制限や、家族との面会ができないためコロナ禍で、症状が悪化する人が増加しています。

私たち議員団にも福祉施設への入所をもとめて深刻な相談が寄せられています。「子どもが精神科病院から退院するが、知的障害・精神障害を持ち、家族だけではもう対応できない。しかし、入所できる施設が見つからず、どこも何十人の入所待ちといわれる」「老人介護施設に入っていたが、利用料が払えなくなり府営住宅に一人で暮らしています」「親を特養に入れたいが待機者が多くて入所できず、家族が介護疲れで倒れそう」などの内容です。

また、施設からも「これ以上重度の人はあずかれない」「新しい施設をつくるための国の補助金が出なくなって、施設入所をもとめる声にこたえる施設建設に踏み切れない」という声を聞きます。職員の確保も深刻で、介護施設では「ハローワークで求人を募集しているが2年間で1人の応募もなかった」などの声も聞いています。福祉医療機構の調査では2019年度に、特別養護老人ホームが職員確保のために人材紹介会社に支払った手数料は平均284万円だそうです。 

福祉施設に働く人の平均給料は、一般の労働者に比べ月10万円も下まわっており、人材確保のための待遇改善は国の責任で進めるべき喫緊の課題です。  

国は「自助」と「共助(助け合い)」を前提に、生産性と効率性の向上のために介護・障がい者・子どもの分野を一括化する「地域包括ケアシステム」体制で、生活困難者を他人事として放っておかず“縦割り制度”によらない包括的な支援体制をつくるという「我が事・丸ごと」政策を進めるとしています。しかし、その実態は公的責任を投げ捨て、一層の社会保障予算の削減・抑制をねらうものであり、「わがこと・まるごと」政策を見直し、安心できる社会保障施策が必要です。

障害福祉関連予算は毎年増えているといっても、国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障費用統計」調査によると、国際的に見ればGDP比でドイツの3分の1、スウェーデンの4分の1など低いものです。国際水準に見合った障害者予算の引き上げが必要です。

2015年に安倍政権は、「要介護1・2」を特養の入所対象から除外し、見かけ上だけ待機者数を減らすという大改悪を強行しました。軽度の要介護者を門前払いにし、民間の施設や自宅での介護に回すという国の責任放棄が、要介護度が低くても世話の大変な認知症の人が特養を利用できなくなり、国民への負担を大きくしています。

富田林市内にある5つの特養では、特養への入所待機者は、10年前には159人でしたが、2020年度には210人に増えています。介護保険制度の理念は、介護の責任を家族から解放し、それを社会全体で見ていくということでした。特養が作られなくなり待機者が増えるということは、その理念に対する逆行となるものです。

障がい者総合支援法では、それまで対象となっていなかった難病などが対象となるなど一定の前進はありましたが、まだまだ十分とは言えず、施設に入所しにくい状況は変わっていません。国に対し、特別養護老人ホームと障がい者福祉施設の増設を求めていただきたいと考えますがいかがですか。

また、施設入所を希望される家族は、高齢者や障がい者の介護をしながら個別の施設と交渉し、時には大阪府外の施設まで受け入れ施設をさがし、疲れ果て家族の方が介護うつなどを発症されたりしています。

施設の入所を希望している家族への援助やケアなど援助対策を強めることについて見解をお聞かせください。

つぎに、コロナ禍にもいつ襲ってくるかわからない災害に備え、福祉避難所の増設を求めてきましたが、市政方針で「災害時に特に配慮が必要な方への対応として、新たな福祉避難所の指定」について触れられましたので、伺います。

2月13日に東北地方で震度6強の地震が発生し大きな被害が出ています。新たな巨大地震が迫っているとも予測される中、障害をもつ人たちが避難できる福祉避難所の整備がいそがれます。

内閣府の「福祉避難所の確保・運営」ガイドラインによると、福祉避難所の指定目標については、「要配慮者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮し、設定することとするが、少なくとも、地域における福祉避難スペースについては、小学校区に1箇所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましい。」としています。また、市の「避難行動要支援者支援プラン」では福祉避難所について、「市は、要支援者が災害時に相談や日常的な介護、支援等が受けられるよう、市の公共施設を中心に福祉避難所として指定します。その他、民間福祉施設等と災害時の福祉避難所に関する協定を締結し、福祉避難所の確保に努めます。」とされています。

現在、公表されている市の福祉避難所は、富田林ケアセンター・けあぱるの1か所だけとなっていますが、福祉避難所の現在の確保状況と複数の福祉避難所を指定できることをもとめますが、市の見解をお聞かせください。

△2問目△

高齢者や障がい者施設の不足で希望者が入所できない事態は深刻化し、家族で介護せざるを得ないために、離職する人が増えています。厚生労働省の調査では、介護のために仕事を辞めた人は2007年に約5万人だったのが、2017年には9万人を超えています。経済産業省の試算では、介護離職に伴う経済の付加価値の損失は1年あたり約6500億円と見込まれています。

重い障害をもつ家族を社会でも支えられる制度の充実のため、国への要請をつよめることと、市の手厚い支援をお願いしておきます。

災害時に対応できる福祉避難所の指定が前進していることは評価します。内閣府の避難所確保ガイドラインでは、福祉避難スペースを小学校区に1カ所の指定目標を提起していますので、実現のための努力をお願いしておきます。

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