【水を得た魚のように③】甲田浄水場見学編
備忘録も兼ねた記録です。
一昨日、富田林市の甲田浄水場を見学に行きました。
富田林市には、2年前まで自己水源が2つありました。
⚫︎滝畑ダムの水(日野浄水場で処理)
⚫︎深井戸から汲み上げる地下水(甲田浄水場で処理)
でも、2019年度に維持の大変さから、深井戸から取水して水道水を作るのはやめてしまいました。
本当にもったいない!元に戻すことは今からでは難しいとしても、滝畑ダム水は絶対に守らなければと思います。
深井戸が埋められてしまう前に、かつての市の遺産を見ておきたい、水道水を作るということについて何かしら得るものがあると思い見学を申し出ました。
浄水場としての機能をストップしてしまったこの甲田浄水場では、今は、大阪府から買っている企業団水という淀川の水と、滝畑ダムの水を受け取って、市内32ヶ所の配水池に送水しています。
でも、約5年程で、彼方(おちかた)と東部配水池をポンプでつなけば、送水システムもお役御免なのだそう。
管理室では今も365日、24時間、委託業者が市内の配水池の状況を管理、水の使用量などを監視して送水している。かつては市の職員がこれを行なっていたのです。
送水ポンプは電力が要るため、停電しても動かせるように敷地内に発電システムも完備。これは市の職員が今も管理してるそうです。
2年前まで水道水をつくるのに使っていた「沈殿池」「砂濾過池」「深井戸」などを、上下水道部の職員さん3人が詳しく説明しながら案内してくださり、こちらの参加者3人も、真剣に質問しながら見学させてもらいました。
〔深井戸ってどんなん?〕
深井戸は深さ150M〜200M、直径30cm位の穴から汲み上げる。市内に1号〜8号まであり、最後まで稼働していたのは6本。見た目は「井戸」という感じでなく驚き!
「どちらかというと石油を獲る感覚」との説明に納得。
そして、地中 150M以上も大きな穴を掘るのは困難とも。
深井戸は口径が小さく目詰まりなどにより、当初100t/h だったのが20t/h と取水量が減ってきて20年位で寿命と言われており、1つ掘るのに1億弱かかるそう。
浅井戸(7M程度の家庭にあるような井戸)は目詰まりの影響は受けにくいものの、川の状態に左右される。
〔水質について〕
以前の富田林市の水は美味しかったと聞きます。この辺の水はカルシウムが多くミネラル多めの水質、深〜い地下水なので、水質は安定していたそうです。
塩素は企業団水が富田林に届くまでにかなり減るので、ここで追加。塩素でも死なない原虫「クリプトスポリジウム」は、紫外線滅菌装置で不活性化するのだそう。
企業団水はすでに処理済みで送られてくるため、塩素を追加するほかは、再度こちらで水質チェックはしない、とのこと。これは怖いな、と思いました。
水質チェック部屋も見せてもらいました。まさに理科室!色濁りやPH、伝導率など約5項目の簡易・臨時のものはここでもチェックできますが、その他は、滝畑ダム水を浄水処理している日野浄水場内の「河南水質管理ステーション」に、富田林市・河内長野市・柏原市・羽曳野市の4市と企業が検査持ち込みをして検査を行なっているそう。
富田林市の自己水源のこと、自分の家の井戸のこと、近くの川のこと、山のこと、色んなことを繋げて考えながら。
やっぱり「百聞は一見にしかず」だなと感じました。
次は、日野浄水場を改めて見学に行きたいと思います☆ ありがとうございました!
富田林市甲田にある甲田浄水場を見学開始!2018年度末まではここで地下水を深井戸(150〜200mの深さの帯水層)から汲み上げ、市の水道水を作っていました。現在浄水設備はストップしています。
使われなくなった沈殿池。下に不純物を沈殿させ、上澄の水を取るもの。
現在使われていないので鉄板は少し危険そう。注意して見学。。
沈殿池の隣には使われなくなった砂濾過池。砂を通して水を濾過する設備。
沈殿物を濃縮乾燥させ、引き取り業者にお金を払って持っていってもらい、コンクリートなどに混ぜて建築資材などに。これも現在は必要なくなってしまいました。
沈殿池、濾過池を見た後、階段を降りると深井戸1号が。
深井戸1号ポンプ盤。
これが記念すべき、市内で一番最初に掘られた深井戸1号。深井戸は富田林市内に8号まであったそうです。最後まで使われていたのは6本。井戸のイメージと随分違いますね!約30cmの直径で地下150〜200mの深さまで管が通され、1番先端にフィルターが付いていて帯水層から水を汲み上げ。フィルターの目詰まりや水枯れなどで、1時間100トン汲み上げられてたのが20トンになり‥と減ってきて、深井戸の寿命は約20年と言われてるそう。新しく掘り直すのには1億円弱の掘削費用が必要。
緊急時に稼働する給水車が佇んでいました。
これは浅井戸。浅井度はだいたい7m〜10m程度。こちらは「井戸」のイメージ通りですね。浅井戸は、川の水には影響されるが水枯することはほぼないようです。
塩素を投入する機械。大阪広域水道企業団から送られてくる水(以下、企業団水)は、枚方市から淀川の水を送ってくるため、富田林市に着く頃には塩素がだいぶ抜けてるので、塩素濃度の基準を満たすよう追加。市内の送水先までの距離などを計算して投入。
黄色のタンクは現在使っていません。箱には、塩素が入っています。
紫外線滅菌装置。塩素で死なないクリプトスポリジウム(原虫)を不活性化するために水に紫外線を照射する装置。
以前はここで鯉を飼っていたのだとか。空っぽの水槽が切なげに置いてありました。
送水ポンプを動かすには電気が必要。このでっかいエンジンみたいなのは、停電しても送水が止まらないようにするための自家発電装置。
水質検査室はまさに理科室!ここでは、現在は簡易、臨時の検査のみ行っている。
様々な薬品たち。。
こちらは現在使われていない水質検査の機器たち。
富田林市内全域の水利用の状況を把握し送水管理をするオペレーション室。365日、24時間体制。以前は市の職員が交代勤務してましたが、現在は業者委託。甲田の浄水設備はすでに停止しており、送水ポンプ設備も5年後位には停止(東部排水池・彼方排水池をポンプでつなぎ直接送水できるようにする)との事。その後も、このオペレーション室は稼働を続けるとの説明。
送水管理オペレーション室がある階からの眺め。石川のすぐそば。
甲田浄水場から歩いて200m程のところにある深井戸3号。天井の大きな穴は、ポンプが故障した際などに、ユンボで持ち上げるための穴。
2年前まで使われていた深井戸3号(写真に写っているのは配管とバルブ。深井戸は直径約30cm、地下150〜200mまで掘られています)。これから埋められてしまいます(涙)。
壁には落書き‥‥ではなく、メモが。水位などその時々で変わるのでメモしてたようです。
今もあちこちに残る深井戸。2年前まで使われていたのは6本。これらを今後埋めてしまい、土地は売却する方向との事。。。