2021年6月議会◆代表質問 ②マンション問題の解決策をもとめて-質問と答弁

次に、マンション問題への市の支援をもとめて伺います。

分譲マンションは国民の1割、1400万人の人々が暮らす場であり、富田林市でも分譲マンションに多くの市民が暮らしています。戸建住宅と違い、共用部分の管理や清掃は管理会社に任せておける利便性がありますが、分譲マンションを所有するには区分所有者自身が管理組合で運営を担うことが必要となります。マンションの住環境をまもり維持するためには、住民による自主的な管理への参加が重要です。住民によるコミュニティが形成されないままでは、管理会社の言うままに大規模修繕費が支出されてしまったり、十分な修繕計画がたてられなければ、健全なマンション管理ができません。自治体がマンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全、快適で、長持ちするマンションをめざす市民生活を支援することが求められています。

分譲マンションでは、区分所有者により管理組合がつくられ、管理会社の援助を受けて運営されていますが、選出される役員の多くは1年交代の持ち回りで経験の蓄積ができません。12年から18年周期で実行されるマンションの大規模修繕には何億円もの費用が支出されます。専門的知識がない1年交代の役員だけで、修繕計画を立て、建築物の診断を依頼し、業者の選定や工事監理まで実行するにはあまりに大きい負担です。管理組合での最も多い悩みが、この大規模修繕問題です。規模の小さいマンションでは役員のなり手も少なく住民同士で相談もできません。

自治体としてマンション管理組合運営の交流や、大規模修繕などの相談ができる窓口が必要だと考えますが、市の見解をお聞かせください。

市内の多くの分譲マンションは、新耐震基準で建築され、鉄筋や鉄骨造で地震や風水害には耐えられる構造にはなっています。しかし、軽い地震でもエレベーターが停止し、メンテナンス会社が広い地域に一斉に再稼働対応にまわるため、復旧までに数日かかることもあります。断水が起こっても高層階まで階段で水を運んだりしなければならず、ライフラインの脆弱さには、住民同士の協力が欠かせません。私の住むマンションでも地震でエレベーターが停止した時に、車いすの人工透析患者の通院のために、住人を自主防災会のメンバーみんなで階段からおろすお手伝いをしたことがあります。また、ワクチン接種の予約ができない高齢者のためにマンション自治会主催で、集会所で緊急相談会を開きラインで高齢者世帯全員の接種予約のお手伝いをしました。

マンションの暮らしを快適なものにするには、住民自身の自治活動と自主組織の確立が必要です。市内のマンションでの自治会、自主防災会、アドプトロードなど、自治組織の確立状況は把握されているのでしょうか。

近隣のマンション自治会どうしで活動の交流をするために、自治会の役員同士でバーベキューをする機会を持ったことがありますが、その後もいろいろな相談をお互いにできるようになりました。

市内の町会や自治会の活動を統括する町総代会がありますが、マンションの自治会活動を交流できる広報の発行や機会の提供など、市の援助の取り組みなどがあればお聞かせください。

新しくできたマンションと古くから住んでいる地域住民との関係を良好なものにすることも大事な課題です。私の住むマンションでも建築当初、近隣と小さなトラブルがありました。「マンションができたために眺望が悪くなった」「マンションの階段・廊下の照明がまぶしい」「マンションから子どもがたくさん通学しているのに、地域の見守り隊にでてこない」など、従来の町会とマンション住民とのお付き合いには難しいものがありました。

しかし、子どもたちが同じ学校に通い友達になり、村のだんじりの引手が足らない時にはマンションから手伝いに行ったり、高齢者と古い家屋が多い従来の町会とマンションの自治会役員との交流会を開き、大規模地震が発生して古い集落で家屋の倒壊などがおきても、マンションから救出のために出動することなどを話し合うことができ、隣同士の町会が助け合い協力できるようになってきました。

比較的年齢層の若いマンションの自治会と高齢者の多い従来の町会が交流し、大規模災害が発生した時に助け合えるような、防災体制の確立と援助の方策について、見解をお聞かせください。

マンション敷地には公共性の高い固定資産がたくさん含まれています。敷地内の集会室、公園施設などへの固定資産税の減免措置や、集会所を使っての生涯学習活動への援助など、実施されているマンションへの支援策などがありましたら、ご紹介ください。

 

【答弁】

議員ご指摘のように、専門的知識を必要とするような、分譲マンションの大規模修繕は、管理組合にとって悩ましい問題であります。

分譲マンションの大規模修繕などの相談窓口としましては、府が中心となって本市を含む府下26市町や関係団体から構成される「大阪府分譲マンション管理・建替えサポートシステム推進協議会」を設置しております。事務局は大阪府居住企画課が担っており、住之江区の咲洲庁舎となります。

同協議会では、府内の分譲マンション管理組合からの登録を募っており、本市の分譲マンションも登録されているところです。登録は簡単で、マンション名や代表者の連絡先、建築年や戸数などの情報の登録により、登録料や年会費は無料で、同協議会から各種支援を受けることができます。

支援の一例としまして、年に1回の「管理状況確認シート」の提出により、適切な助言を受けることができたり、マンション管理相談アドバイザーの2回までの府の予算による派遣や、建替えなどの実務アドバイザーの派遣を受けることができます。また、日常管理や大規模修繕、建替えなどに関するガイドブックの無料提供を受けることもできます。

令和2年1月には、府と本市の共催のもと、本市において分譲マンションセミナーを開催し、市内だけでなく市外からの参加者もありました。セミナーの開催は、分譲マンション管理における相談の場であり、各管理組合の交流を深める機会でもあったと考えております。

今後におきましては、同協議会について、広報誌やウェブサイトにおいて、情報の周知に努めてまいりますとともに、同協議会の活動の中に各組合間での交流を深める機会が位置付けられるよう、同協議会の会議の機会に提案してまいります。また、本市におきましても多くの市民がマンションにお住まいですが、独自の相談窓口の設置については、専門的なアドバイザーの確保も難しいことから、同協議会の活用により対応してまいりたいと考えております。

2.マンション問題への市の支援を求めての(2)について、お答えいたします。

市内のマンションでの町会・自治会の確立状況でございますが、市としましては、すべてを把握しておりませんが、マンションによっては、管理組合が一つの町会・自治会として活動されている場合や、管理組合として、その地域の町会・自治会に加入されている場合など様々なケースがあると思われます。

次に、自主防災会についてでございますが、議員ご指摘のとおり住民生活を行う上で、防災・減災のため自助共助の体制を構築することは大変重要であると認識しているところです。

現在、自主防災組織の設立状況は、単一町会で組織されている団体や複数町会で組織されている団体を合わせて77組織が連合会に加盟しており、そのうちマンションで設置されているのは4団体です。

また、本市のアドプトロードについてでございますが、平成24年3月1日より運用しており、富田林市が管理する道路等の一定区間において、地元自治会や企業などの団体が自主的に清掃などの美化活動を行なうことを支援し、きれいな道路づくりを実現する事を目的としております。

令和3年6月現在、地元自治会や、会社などの10団体を認定しておりますが、マンションなどの自治会での認定はしておりません。

また、富田林市内では、大阪府もアドプトロードを実施しており、地元自治会や、会社などの12団体が認定されており、そのうちマンションなどの自治会は1団体と聞き及んでおります。

2、マンション問題への市の支援を求めての(3)につきましてお答えいたします。

本市では、地域の代表者である町会・自治会長を町総代として委嘱し、その町総代の自主組織として富田林市町総代会があります。

町総代会は、市内各町相互の連絡を密にし、親和のもとに市民の福祉増進を図り、自治振興を推進することを目的として、町会、自治会の加入率向上のための取組みや、地域住民の意見を取りまとめ、市政に反映できるよう活動しております。

また、町総代会では、各地区から選出されたものを理事として理事会を設置しており、理事会では、それぞれの地域の課題や独自の取組みについて情報交換を行うなどしております。

市としましては、マンションに関する取組みは行っておりませんが、自治会間の交流は重要であることから、町総代会とも協力しながら可能な支援について検討してまいります。

2.マンション問題への市の支援を求めての(4)につきまして、お答えいたします。

近年、日本各地で発生している大地震や台風などの風水害において、様々な住居に被害が発生していますが、木造建築物に比べ、鉄筋コンクリート造などのマンションは比較的被害が小規模となる傾向にあります。

そのような状況下におきましては、議員お住いのマンションのように、被害状況によっては、マンションに居住されている方々から近隣町会や自治会へ支援をいただけることは、共助としてとても心強く感じております。

しかしながら現状といたしましては、マンションと従来の町会とは別々に防災訓練等を行っているところが多く見受けられます。

高層マンションにおきましては、地震の際には長周期地震動に気を付けなければならいことや、平成30年に発生した台風第21号におきましては、本市におきましても大規模停電が発生したことにより、断水が発生した事案も見受けられるなど、戸建住宅とは違った備えが必要な面もございます。

今後は、市の総合防災訓練において、避難所開設訓練を行う際に、マンションと従来の町会との地域交流が醸成されるように啓発していくと共に、本市で補助を行っている小学校区で開催される地域防災訓練においても両者が参加いただけるよう呼び掛けてまいります。

(5)マンションの集会室への固定資産税の減免措置といたしましては、市税条例並びに要綱の規定に基づき、自治会活動の場として利用されている場合などには、申請により、固定資産税を減免しています。

また、公園施設につきましては、地方税法の規定に基づき、非課税としている物件もございます。

集会所を使っての生涯学習活動への支援といたしましては、町会組織を含めた、市民団体が主催する学習活動の場などに講師として、職員等を派遣する、「とんだばやし発見出前講座」がございます。

講座の内容といたしましては、ごみの出し方や防災について、また健康など身近な内容や、市の総合ビジョンといった市の方針まで、地域の課題やニーズに応じた幅広い講座メニューを用意し、地域の皆さんに提供させていただいているところでございます。今後も身近な集会室を使った生涯学習の支援に努めてまいります。以上でお答えとさせていただきます。

【要望】

マンション問題で市の支援を求めましたが、現在、分譲マンションの管理組合への援助や自治会活動への市独自の支援の窓口はなく、具体化の予定も無いようです。

人口・世帯が密集するマンションは、大規模災害の際にはライフラインの脆弱さを持っていますが、住民の自治の力は共助として、地域の防災力の大きな力ともなります。また、共働きの世帯も多く、働く市民の住環境整備や子育て、教育問題はマンション住民の大きな関心事です。

ぜひ、マンション住民による管理組合運営や、自治会活動への支援に具体的な対策をもち、安全・安心のまちづくりに努めていただくよう要望しておきます。

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